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〈Topic ‘22〉新緑を卓子にうつして 旧邸御室「深緑の薫」特別公開

2022.06.01

4月27日から、右京区の旧邸御室で5月特別公開が行われている。庭園の新緑が美しい5月に公開されるのは、2019年以来3年ぶり。

建物は1937年の建築で、国の登録有形文化財。建築時の所有者や建築目的、設計者は不明。昭和初期の郊外邸宅の様子をよく残す貴重な建築である。母屋にあがり、22畳の大広間に入ると、東南アジア産のカリンの木でつくられた卓子が目をひく。四季のない熱帯で育った樹は年輪を持たず、表面は水が張ってあるかのように滑らかだ。漆で丁寧に磨かれた天板は艶やかな飴色の光沢を放ち、木々の緑を静かに映している。

縁側から庭園に出ると、茶室へ続く登り道がある。そのまま双ヶ岡へと続く庭園内の丘には、小さな茶室が母屋を見下ろすように建っている。木々に包まれてちょうど日陰になっている茶室の縁に腰かけると、吹き抜ける風が心地よい。茶室から母屋の方を見やると、甍越しに青々とした山並みを望み、のどやかな風景が広がっていた。

同施設は現在中京区の山三製材所が所有し、普段はレンタルスペースとして活用されている。特別一般公開は6月5日まで。入場料は大人千円、高校生以下500円。(汐)

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【新緑を逆さに映す「庭鏡」】

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