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立て看規制 「市民の会」 文書を提出 規程の見直しを要求

2018.06.01

京都大学が昨年12月19日に制定した「京都大学立看板規程」を受けて、有志による市民団体「立て看文化を愛する市民の会」(以下、「市民の会」)は5月31日、京都大学に対して立看板規程の見直しを求める要請書を提出した。「市民の会」は要請書を本部棟前で読み上げ、大学職員がその場で要請書を受け取った。

「立看板規程」は、京都市から文書による行政指導を受けたことをきっかけに京都大学が制定したもので、キャンパス内やキャンパス周辺における立て看板の設置を制限している。規程は5月1日より施行され、5月13日からは大学職員によるキャンパス内や周辺に設置された立て看板の撤去が行われている。

「市民の会」は要請書の中で、立て看板を「学生たちの創造的な表現活動と自由な意見表明の手段」であると指摘する。そして、京都大学による立て看板の撤去に対しては、「『表現の自由』の否定であり、『大学の自治』を自ら踏みにじる蛮行」と批判している。そのうえで、山極総長および京都大学理事会に対して▽「京都大学立看板規程」の見直し▽大学として京都市が制定した「京都市屋外広告物に関する条例」へ抗議すること▽6月30日までの書面による回答および回答に至る審議内容の公開、の3点を要求した。

「市民の会」は5月23日に門川大作市長に向けて「屋外広告物等に関する条例」の抜本的な改正や京都大学の立て看板に対する指導の撤回を求める文書を京都市に提出。また、28日には、陳情書の形で京都市議会に対しても同様の内容を要求する文書を出している。

「市民の会」は、立て看板を文化的景観として残すために署名活動を5月31日より開始しており、7月31日に第一次の集計を行うという。署名用紙は、「市民の会」のフェイスブックからダウンロードすることができる。

有志の弁護士も声明

京大の立看板規程を巡る一連の問題を巡っては、有志の弁護士も立て看板の撤去に対して声明を出している。

京大出身の弁護士によって構成された有志は、連名で5月22日に立て看板に対する措置の見直しを求める声明を京大と京都市に送付した。有志には京大出身の弁護士138人が参加した。

声明では、京大にある立て看板の撤去によって表現の自由が脅かされる危険があると説明している。屋外広告物条例では非営利を目的とするものは事前の許可を必要としていないにもかかわらず、一律に立て看板の撤去を求めていることに対して、表現の自由への配慮を欠くと主張している。公衆へ危害を与える恐れがあることや、歴史的景観への配慮を撤去の根拠としていることについても、表現の自由に配慮していないと主張した。

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