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〈Topic ’25〉三分咲きの萩も可憐に 梨木神社 萩まつり

2025.10.01

〈Topic ’25〉三分咲きの萩も可憐に 梨木神社 萩まつり

白萩の花。奉納舞台を背に

9月27・28日、京都御所の東に佇む梨木神社(上京区)で萩まつりが催された。梨木神社は、幕末から明治維新にかけて朝廷を支えた公家・三条実万、実美親子を祀る社で、「萩の宮」とも称される萩の名所である。毎年、花が咲く頃に合わせて俳句献詠や伝統芸能の奉納が行われ、一般の人々に親しまれている。

細い参道を抜けた境内は、萩をはじめとする草木に囲まれていた。京都市内とは思えぬほど静かな空間である。奉納芸能の舞台ともなる拝殿を中心にベンチが並び、腰を下ろして涼む人、歩きながら花を愛でる人など、老若男女が思い思いに過ごしていた。訪れる外国人観光客の姿も少なくない。今年は残暑の影響で開花が遅れ、萩は三分咲き程度だったが、ピンクや白の可憐な花が目を引いた。枝には俳句や祈願を書いた短冊が結ばれていた。

奉納舞台では、居合道の演武や琴の演奏などが次々と披露された。蒸し暑さの残る中で、琴の澄んだ音色は心を鎮め、涼しさを運んでくれた。木々に囲まれた境内は、まるで日常から隔てられた別世界のようである。演奏は夜まで続き、見物客は自由に出入りできる。琴の音を背に、短冊に記された俳句を眺めながら細く長い参道を1人通り抜け、祭りを後にした。(唐)

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