〈Topic ’25〉三分咲きの萩も可憐に 梨木神社 萩まつり
2025.10.01
白萩の花。奉納舞台を背に
細い参道を抜けた境内は、萩をはじめとする草木に囲まれていた。京都市内とは思えぬほど静かな空間である。奉納芸能の舞台ともなる拝殿を中心にベンチが並び、腰を下ろして涼む人、歩きながら花を愛でる人など、老若男女が思い思いに過ごしていた。訪れる外国人観光客の姿も少なくない。今年は残暑の影響で開花が遅れ、萩は三分咲き程度だったが、ピンクや白の可憐な花が目を引いた。枝には俳句や祈願を書いた短冊が結ばれていた。
奉納舞台では、居合道の演武や琴の演奏などが次々と披露された。蒸し暑さの残る中で、琴の澄んだ音色は心を鎮め、涼しさを運んでくれた。木々に囲まれた境内は、まるで日常から隔てられた別世界のようである。演奏は夜まで続き、見物客は自由に出入りできる。琴の音を背に、短冊に記された俳句を眺めながら細く長い参道を1人通り抜け、祭りを後にした。(唐)
