〈Topic ’25〉枯山水の静謐に酔う 大徳寺興臨院 秋の特別公開
2025.09.16
石庭。白砂で描かれた波紋が重なり合いながら広がっている
興臨院は戦国時代に能登の守護・畠山義総によって建立された臨済宗大徳寺派の塔頭。畠山氏の没落後、加賀百万石の藩祖・前田利家により改修され、前田家の菩提寺として庇護を受けた。
創建当時の姿を残す荘厳な表門をくぐり、本堂に入る。曇り空のもと、本尊の釈迦如来を祀る仏間を背に石庭を眺めれば、生活の喧騒に揉まれてそれまで意識されなかった虫や鳥の声、池に注ぐ水の音がさやかに聴こえてくる。静けさに浸りながら無心でいると、おもむろに陽の光が差してきた。輝く白砂と落ちる影の鮮やかな対照にしばらく見とれていた。
廊下を渡った先にある涵虚亭は、障子を透かす光でほの明るく、やわらかで小体な趣がある。茶室の内部は立ち入れず、隣接する水屋から覗き込む形ではあったが、躙口や連子窓など茶室特有のしつらえが醸す日本古来の情緒が心にしみた。「心を虚にして身を涵す」、すなわち「一切の邪念から離れゆったりとくつろぐ」ことをまさに体現した空間だった。公開は12月15日まで。楓が色づくころにまた訪れたい。(鷲)
