〈「5年条項」私の視点〉 高山佳奈子 法学研究科教授(2009.07.01)

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大学が5年雇い止めを定めた実質的理由は、長期間雇用し続けると解雇ができなくなるためのようです。つまり、簡単に解雇してよい人だけを「とっかえひっかえ」雇うためだということになります。しかし、これは理論的にも実際的にも成り立たない説明だと思います。5年間まっとうに勤務できた人をその後急に解雇しなければならないような事情はほとんど生じないと考えられる上、仮にそのようなケースがあったとしても、全員を雇い止めの対象とする根拠にはなりません。

表向きに言われている理由は、予算が急に減るかもしれず、その対策として支出を抑えるためということです。しかし、目的実現の手段として、5年雇い止めには合理性がありません。補助的でない重要な業務に就いている時間雇用職員が多い中で、5年ごとに人を交替させていったらどうなるでしょうか。

第1に、どれほど優秀な人を新たに採用できても、仕事を覚えるにはある程度の期間が必要であり、その間にこなせる業務量は前任者と比較して低下せざるをえません。時間雇用職員の中にはもともと短期で離職する人も一定割合含まれていますが、5年雇い止めは最も経験のある人を対象者とするのですから、新人が慣れるまでに生じるロスも最も大きくなります。第2に、これを給与面から見ても、そうしたロスを少なくするには職業経験の豊富な人、つまり(部局による相違はあるものの)時間給の高い人を新たに採用する必要があることになり、人を入れ替える財政的意義は小さくなります。第3に、給与が低いだけでなく、5年しか雇用されないことが初めから決まっているポストに、どれだけの優秀な候補者が応募するでしょうか。きちんと仕事をすれば5年を超えて雇用され、常勤職員となる見込みのある場合と比較して考えるならば、落差は明らかでしょう。5年雇い止めは優秀な人材の採用を困難にするのです。第4に、新人の採用を担当する側でも、そのために労力がかかり、他の業務のために割くことのできる時間が大幅に減少してしまいます。

このように、コスト面だけから考えても、5年雇い止めのデメリットは大きすぎます。ノウハウを蓄積した職員のサポートがなくなれば、第一線で活躍する研究・教育者にとっては決定的な打撃となります。大学の生産性と競争力をわざわざ下げるような施策の不合理さを認めるべきです。

(たかやま・かなこ氏は法学研究科教授)

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