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労働委員会へ斡旋申請 公開の説明会求める 雇い止め問題

2009.04.04

時間雇用職員の5年雇い止め条項撤廃と待遇改善を求めて、2月23日より本部構内の時計台前でストライキを行っていた京都大学時間雇用職員組合「Union Extacy」が3月31日、京都府労働委員会に大学当局との交渉の斡旋申請書を提出。同日夜、申請に至るまでの経緯などについて記者会見で説明した。エクスタシーは現在雇用されている非常勤職員などがひろく参加できるかたちでの説明会を要求しており、今後数ヶ月の間にその開催の条件を決める交渉などについて斡旋をうける。大学当局は本紙の問い合せに対し、今後の対応については「検討中であり現時点で回答はできない」(広報課)としている。

エクスタシーの経緯説明によれば、3月6日の団交要求書の提出の後、16日、18日に団交の予備折衝が行われたが、当局が双方の参加人数を5~6人、時間は1時間半以内、と主張したのに対し、エクスタシーは5~6人では当事者が広く参加できず意味がないとして交渉は平行線。18日、岸本佳典総務部長との接触がとれなくなったために総長宛に団交再要求書を提出。しかし翌日の19日、「22日までにテントを撤去しなければ断固たる措置をとる」という旨の通告書が当局から出され、回答期限の23日までに回答はなかったという。27日にはエクスタシーが団交開催の条件について合意すればテントを自主的にたたむ旨の通告書を出し、30日には団交の再々要求書を提出したが、回答期限の31日に回答はなく、これを受けてエクスタシーは労働委員会への斡旋申請に踏み切った。申請は正式に受理され今後数ヶ月で委員会による両者への聴取などが行われるという。条件が折り合わなければその時点で決裂とみなし、不当労働行為申立書を出す方針だ。

会見では今回のストに関する説明も行われ、「テントをたてたのは、5年で雇い止めにされるなんておかしいじゃないか、ということを目にみえるかたちで問題化したかったから」と述べ「首をきるというのは一大事のはず。理由の説明ぐらいはしてほしい」と訴えた。しかし、入浴演説などこれまでのアピール方法については「不快に思う人もあり、他の当事者にメッセージが届かない」(農学部非常勤職員)などの声も聞かれる。 

問題となっている5年雇い止め条項とは、京大非常勤教職員の契約期間を定めた就業規則の条項。京大の時間雇用職員や有期雇用職員など、いわゆる非常勤として働く職員は従来、年単位で雇用契約が更新されてきた。しかし法人化後の05年3月、京大は規程を改正し、以降契約の非常勤職員に関しては「雇用される期間が通算5年を超えないものとする」(時間雇用教職員就業規則第4条第2項抜粋)とした。この条項によって2010年度以降に大量の非常勤職員が雇い止めされうる状況が生じている。

この問題に関して、京都大学最大の労働組合である京都大学教職員組合(以下職組)は3月11日に大西珠枝・人事担当理事を相手に二度目の団体交渉を行い、職組側は改めて大学当局に対し「5年雇い止め条項」の撤廃を求めた。しかし職組によれば、大西理事は「もう規則で決められていることなので、実行するのみ」の一点張りで事実上の白紙回答。職組側は「ここまで来ると」と、大規模運動から組合員ごとの個別運動へ移行する方針。

同条項による「雇い止め」は、規程改正の5年後となる2010年度春からの問題となる。エクスタシーの2人は3月31日で大学との雇用契約が切れ、座り込みは「ストライキ」ではなくなるが、しばらくは説明会開催に向けたアピール活動を続けるとのこと。

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