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クスノキ下「占拠」、舞台は法廷へ

2009.05.02

京都大学当局は4月22日、京都大学時間雇用職員組合「ユニオンエクスタシー」(以下、エクスタシー)の座り込みに対して、不法占拠であり明け渡すよう京都地裁に提訴した。エクスタシーは非常勤職員の5年雇い止め条項撤廃と待遇改善を求めて本部構内の時計台前で座り込みを行っている。(如)

今回の提訴はクスノキ下の占拠が対象であり一連の労働争議とは切り離された形での提訴となったが、エクスタシー側は「5年条項がなければそもそもテントなど立てなかったので(団交とは)切り離せない問題である」と主張している。

エクスタシーはストライキ開始当時クスノキ前でテントを張っていたが、2日目の2月24日に当局からテントを後退させるよう勧告された。その後はクスノキの真下で新たなテントを張り直し座り込みを続けている。
 大学当局は22日、京都府労働委員会にてエクスタシーによる団交の斡旋申請が受理されたとして、団交の予備折衝に応じるよう勧告された。これを受け翌23日にエクスタシーとの予備折衝に応じた。組合員と労務管理グループ長の一対一で1時間に渡り行われたが、新たな合意点には至らなかった。この時岡島氏からは提訴した旨の通告はなかった。そして翌24日、総長と記者との懇談会にて松本紘総長から提訴に関する発表が初めて行われた。

当局 労働争議には言及せず

京大新聞の取材に対し、当局(広報課)は提訴の理由について「最大の理由は彼らが不法占拠をしている点であるが、クスノキは京大のシンボルでもある。このままでは見栄えも悪い上に木の生育にも悪影響を及ぼすため」と回答している。

この提訴はあくまで「不法占拠」に限定されたもので、これまでの交渉に関しては全く言及されていない。エクスタシーの井上昌哉氏は、この提訴に対し疑問を禁じ得ないと表明した上で「5年条項がなければそもそもテントなど立てなかった。5年条項そのものが不法行為なのに気が付けば座り込み自体が不法とみなされている。クスノキが泣いていると言うが首を切られる職員も泣いている現実を考えて欲しい」と話している。

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解説:今回の労働委員会の斡旋は予備折衝の場を設けるものであり、あくまでも「窓口は自分たちが開くので以後は当事者で解決してほしい」と勧告するに留まった。つまり、仮に団体交渉の過程で組合が当局に対し非常勤職員にも開かれた形での説明会を求めたところで当局がそれに応じる義務は必ずしも発生しない。組合は更に踏み込んだ形での斡旋を期待していたが、予想を裏切られた結果と言える。話し合いが決裂した場合、2回目の斡旋は6月1日に行われる。

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