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「5年条項」見直し案発表 継続雇用に活路開くか

2010.01.16

京都大学が非常勤職員に対する5年条項の見直し案をまとめたことが分かった。継続雇用する場合は部局の責任で行う、などの内容が明らかになった。

従来京大で時間雇用職員や有期雇用職員など、いわゆる非常勤として働く職員は、年単位で雇用契約が更新されてきた。しかし法人化後の05年3月、京大は規程を改正し、以降契約した非常勤職員に関しては「雇用される期間が通算5年を 超えないものとする」(時間雇用教職員就業規則第4条第2項抜粋)とした。このいわゆる5年雇い止め条項によって、2010年度内に約100名の非常勤職員が雇い止めされうる事態が生じている。

大学当局側は「非常勤職員は一時的・補助的な業務につくものであり、その趣旨通りに運用をするため5年条項がある」と説明していた。しかし運営交付金や人件費の削減等大学運営をめぐる環境が年々厳しくなる中、恒常的な業務にも非常勤職員を充てる例が多くあり、当局の認識と実態は大きく乖離していた。

京大最大の労働組合である京都大学教職員組合(以下職組)は同条項の撤回を求める方針のもと、08年12月と09年3月に大西珠枝・人事担当理事(当時)を相手に団体交渉を行った。また京大自立労働者組合ユニオンきりんも条項撤廃を求める声明を発表したほか、時間雇用職員組合UnionExtasyは、昨年2月から条項撤廃と非常勤職員の待遇改善を求めてクスノキ前で座り込みを現在まで続けている。さらに昨年6月には学内の常勤教員有志143名が総長宛に5年条項の見直しを求める申入れを提出していた。

反対運動を受けて、7月に松本総長は教員有志の申入れ書に対する返答の中で「秋にも人事制度検討会を開き見直しを行う」と初めて見直しに言及。その後9月に同検討会を人事担当理事のもとに設け、見直し案の策定を勧めていた。

今回明らかになった見直し案では、5年条項は従来通り残した上で、例外として部局が特に重要とする継続業務については、一度従来の被雇用者も応募できる公募をしたうえ応募者の中で継続雇用希望者が最も優秀であると判断された場合に限り、6年目以降も継続して働くことを可能とするシステム。ただし当該職員は新規の採用者として扱い、また5年条項が適用される。人件費の増加分は部局長と事務局が責任を持つという。あくまでも検討案であり、12月8日の部局長会議に提出され現在審議されているという。

この検討案について職組は「不満は残るが、取りあえずは継続雇用を希望する非常勤職員の雇用確保のための運動をしていきたい、ただ5年条項そのものの撤廃要求もそれと平行して続けていく」とコメント。UnionExtasyは12月22日に5年条項の完全撤廃を求める学内デモを行った。(魚)

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