ニュース

尊厳保つ意思決定、貧困無くす教育 SMBC京大スタジオ 研究紹介

2024.06.16

7月、京大に「SMBC京大スタジオ」が設置される(=1面)。6月6日に行われた記者会見の第2部では、既に研究を開始している京大の教員と日本総研の研究員ら5名が登壇し、実施している研究の内容や今後の展望を述べた。

スタジオが扱う当初の研究テーマとして、▼発達障がいを持つ人の就労支援▼貧困・格差の連鎖を断つ教育方法の開発と普及▼生前・死後の尊厳を保つ意思決定のあり方、の3つが設定されている。

西岡加名恵・教育学研究科教授は、貧困・格差を無くす教育の基礎研究に加え、教育手法の普及に取り組む。かつては荒れていたが、独自の教育プログラムによって校内暴力の減少や学力向上を果たした学校に足を運び、児童や教職員とともに研究を進めているという。プロジェクトの一環として、8月に教員向けの研修会を実施する。

医療倫理についての研究がある児玉聡・文学研究科教授は、生前・死後の意思決定の支援の調査を進める。超高齢化社会の日本では、身寄りのない高齢者が増加し、無縁遺骨や空き家の問題が発生している。ともに研究に取り組む沢村香苗・日本総研研究員は、意思決定について「これまで死後や医療の場面で切り取られてきたが、本来は日常生活と続いているもの」と指摘。他の学問分野からの分析や、他国の事例研究を通して、自己決定しやすい仕組みを作っていきたいと述べた。

今後の具体的な事業の構想を尋ねる本紙の取材に対し、沢村研究員は、まずは研究により問題点を明らかにする必要があると述べた。その上で、意思決定を支える存在と実行方法に新たな事業を生むチャンスがあるとの考えを示した。

研究分野の選定について、谷崎・日本総研社長は「限定的に考えているわけではない」と説明した。研究者や学生からの働きかけも想定しているという。