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京大病院 慢性創傷の治療材 今秋発売へ 三洋化成との共同開発で

2025.05.16

京大病院 慢性創傷の治療材 今秋発売へ 三洋化成との共同開発で

シルクエラスチンスポンジ(三洋化成提供)

三洋化成工業は5月7日、京大病院の森本尚樹教授らと共同開発した人工タンパク質「シルクエラスチン」を利用した創傷治療用のシートが製造販売承認を得たと発表した。糖尿病などに由来する難治性の皮膚の傷を、従来よりも細菌感染のリスクを抑えながら短期間で治療できると期待される。2025年秋以降、科研製薬から国内での販売を開始する。

京大医学研究科の形成外科学教室は、09年からシルクエラスチンの医療応用について三洋化成と共同研究を行ってきた。シルクエラスチンは、絹糸の主成分であるタンパク質・シルクフィブロインと、ヒトの皮膚を構成するタンパク質・エラスチンが交互に連結した構造を持つ人工タンパク質。傷口に密着させると体液と体温で溶解・ゲル化し、皮膚をつくる細胞が増殖するための足場となることで治療効果を発揮するとされる。

21~23年にかけて行われた企業治験で本治療材の安全性と有効性が確認されたとして、三洋化成は24年4月に製造販売承認を国に申請していた。10月には医薬品製造の科研製薬が国内での独占販売権を取得した。