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731部隊論文検証求める 「求める会」京大に要請書提出

2018.08.01

7月26日、「満洲第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」が、京都帝国大学による731部隊の元隊員への博士号授与について検証を求め、京都大学に要請書を提出した。731部隊に関する事例について、京都大学が検証を求められるのは初めてだ。

要請は26日10時から、総合研究8号館の情報数理会議室で行われた。「求める会」の西山勝夫事務局長が野田亮・研究倫理・安全推進担当副学長に、山極壽一総長に宛てた要請書と、国内外から集まった署名簿を渡し、検証結果を報告することを求めた。大学側は、9月上旬に大学執行部で検討し、その結果を「求める会」に報告すること、検討の上必要であれば、医学研究科による調査も行うことを伝えた。検討の具体的な内容について、大学は本紙の取材に、執行部の会議で「要請に対し何らかの対応をするか否か」を検討すると答えた。

「求める会」が検証を求めたのは、京都帝国大学から医学博士の学位を授与された731部隊の元隊員・平澤正欣氏が、学位申請の際に提出した論文だ。「求める会」は要請書の中で、論文中の実験が人体実験であった可能性があるとして、大学に対し、論文を検証した上で、人体実験であったことが判明した場合は学位を取り消すことを求めている。

京都大学は学位規程第15条において、「修士、博士、修士(専門職)又は法務博士(専門職)の学位を授与された者が、不正の方法により学位の授与を受けた事実が判明したときは、総長は、当該教授会又は研究科会議の議及び教育研究評議会の議を経て学位の授与を取り消し、学位記を返還させ、かつ、その旨を公表するものとする」と規定している。ただし、これまで規程に従って学位を撤回した例はないという。

「求める会」の共同代表らは、同日午後の報告会で大学側とのやりとりを公表し、「真摯な態度で受け止めてもらった」と大学側の対応を評価した。「これからも追及の手を緩めてはいけない」としつつ、大学の検討結果に期待すると述べた。

◆満州第731部隊

旧日本陸軍の研究機関である関東軍防疫給水部本部の秘匿名称。発足時に部隊長に就任した石井四郎軍医中将の名をとって石井部隊とも呼ばれる。満州において感染症予防や給水活動を任務としていた。中国人捕虜を用いた人体実験を行い、ペスト菌などをばらまく細菌戦を実行したとされるが、終戦直前に証拠を隠滅して撤退したため、実態は明らかになっていない。 

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