〈京大雑記〉学生不在の「民主主義」を問う 総長選廃止反対行動(2014.01.16)

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12月19日、京都大学職員組合が「民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール」を発表した。この声明によると、「学内教職員による意向投票を今後廃止し総長選考会議のみの議決によって京都大学総長選出すること」および「総長の任期を現在の6年からさらに再任できるようにする」ことに関して12月25日の総長選考会議で「採決」が「強行」されようとしている、ということだった。この段階では京都大学職員組合が「京都大学総長選考会議の学内委員複数名から確認」したと言うのみで、学内委員や会議の事務を行う総務部総務課から裏付けの取れていない情報だったが、TwitterやFacebookなどを通じて多くの京大関係者に知れ渡っていった。

その際決まり文句のように言われていたのが、これは京大の「民主主義」の危機である、といった類の言説だった。しかしいち学生である私としては、こういった言説に強い違和感を覚えざるを得なかった。というのも、京大関係者ならご存じだと思うが、京都大学では学生に(有期雇用職員もだが)総長選挙への投票権が与えられていないからだ。京大の構成員のなかで単純な数のうえでは最大勢力であるはずの学生が、自分たちの「親玉」を決めるための選挙に参加できない。この不自然さに京大の構成員全体がまずは気づくべきではないのか。自分たちの意向を反映させられるルートが直接的には絶たれている状況で、教職員の投票権がはく奪されるとしても、極言すれば学生には何の関係も無いことだとさえ言える。今回の総長選考会議の動向に対して、教職員側から学生に抗議活動への協力を求める声があったという話も聞く。だが学生にとってそれは他人事のように感じられたのではないか。総長選挙の廃止が「京都大学」の「民主主義」の「死」だというならば、学生にとっての「民主主義」は既に「死」んでいたのである。

しかし、学生は健気にも、「学生に投票権が無いのは問題だが、教職員からも投票権がはく奪されるのはおかしい」と、教職員の立場を思いやるかのように反対行動を担う。

職員組合の情報に反応した学生有志は、総長選挙廃止や総長の任期延長、そしてそれらの「強行採決」について反対を表明し、総長会議の行われる25日の朝から夕方まで本部棟前で座り込みを行った。座り込みの最中、本部棟一階ロビーでは「壁」となる京大職員らと議事の公開や当事者との話し合いを求める学生有志との間でにらみ合いや押し問答があった。

こうした学生の行動に、教職員はどのように呼応したのか。

私は現場に居合わせたわけではないので抗議行動の現場にいた知り合いの学生有志数名から確認を取ったことなのだが、学生有志と一緒に抗議をする教職員は一人もおらず、数人が遠巻きに見ている程度だったようである。

ちなみに今回に関係する教職員側の主な動向を挙げると、24日の昼休みには京大職組が主催する抗議集会がクスノキ前で行われ、教職員や学生ら約300人が集まったという。また、25日朝には京大職組が文面を作成し賛同を募った「民主的な総長選挙の存続を求める緊急アピール賛同署名」1065筆を大学当局に提出した。25日昼休みには本部棟から離れた中央食堂前でアピールを行っていたようだ。

しかし、なぜ一番の当事者であるはずの教職員が抗議の現場にほとんどいなかったのか。本部棟で「壁」となる職員らに向けて「同じ教職員として恥を知れ!」と一喝する者が居れば、どれほど学生有志の力になっていたことか。総長選考会議の開始時間は13時。職員は平時の業務があり来るのは難しかったのかもしれないが、3限に講義の無い教員は多くいたはずだ。なぜ彼らのほとんどが、学生の抗議の場へ支援しにやって来なかったのか。なぜ自らが先頭を切って抗議をしなかったのか。「直接行動しても無駄だ」という「シラケ」に陥っていたのだろうか。

実は、教職員にとっての「民主主義」すら、もう「死」んでしまっていたのかもしれない。

学生の自由な活動は、教職員の「自治」により履行される様々な「決定」によって縮小を余儀なくされてきた。吉田寮の「在寮期限」闘争、A号館(現在の共北)建替え、二重登録の禁止、授業時間の増加、建物の夜間ロックアウト…。狭溢で不自由な空間から自由な発想は生まれまい。京大が標榜する「自由の学風」は既に学生にとっては「不自由の学風」だったのではないか。教職員が「民主主義」とか「自由の学風」とか言うとき、私はひとりの学生として、このことについ思いをめぐらせてしまう。

学生もれっきとした京都大学の構成員のひとりである。学生は決して教職員による「サービス」の受け手ではなく、また「大人」によって「保護」されるような類の存在でもない。学生の立場から独自に物事を考え、それを大学のあり方に反映させていくことのできる主体なのだ。

このことに考えの至らない京大の「自治」や「民主主義」、「自由の学風」というのは、空疎な響きしか持たないのではないか、と私は思う。(穣)

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