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総長選 第一次候補者6名決定 21日に次期総長選出へ

2020.07.16

任期満了に伴う京大の次期総長の決定に向け、選考会議が7月3日、第一候補者6名を選出した。候補は五十音順に、▼大嶋正裕(おおしま・まさひろ)工学研究科長、▼北野正雄(きたの・まさお)教育・情報・評価担当理事、▼寶馨(たから・かおる)総合生存学館長、▼時任宣博(ときとう・のりひろ)化学研究所教授、▼湊長博(みなと・ながひろ)戦略調整・研究・企画・病院担当理事、▼村中孝史(むらなか・たかし)法学研究科教授。7月20日に教員への意向調査が行われ、翌21日、選考会議が次期総長を決定する。

6名の選出にあたっては、6月13日に教職員を対象とする予備投票が実施され、教育研究評議会が得票数上位15名を候補者として総長選考会議に推薦した。予備投票では湊氏が432票を獲得して1位となり、2位から5位に寶氏(347票)、時任氏(194票)、大嶋氏(186票)、北野氏(104票)が続いた。選考会議は、上位5名に14位の村中教授(32票)を加えた6名を第一候補者として選出した。

大嶋氏は京大工学部出身の61歳で、教育研究協議会評議員などを経て2018年から工学研究科長を務めている。副理事や経営協議会委員を併任している。

北野氏は京大工学部出身の67歳で、工学研究科長や国際高等教育院長などを経て、2014年から教育・情報・評価担当理事を務めている。

寶氏は京大工学部出身の63歳で、防災研究所所長や副理事などを経て2017年から総合生存学館長を務めている。

時任氏は東大理学部出身の63歳で、化学研究所所長などを経て2017年から国際高等教育院の副院長を務めているほか、研究連携基盤長を併任している。

湊氏は京大医学部出身の69歳で、医学研究科長などを経て2014年から戦略調整・研究・企画・病院担当理事を務め、2017年からはプロボストを兼任している。

村中氏は京大法学部出身の63歳で、法学研究科長などを経て2018年9月まで国際高等教育院長を務めた。松本絋・前総長体制だった2013年から約1年間と、山極現総長に交代した2016年10月からの2年間で、副学長も務めた。

各候補者の所信表明 教員向けに公開

20日の学内での意向調査を前に、第一候補者6名の所信表明書が教員用ポータルサイトで掲示されている。各候補者が所信を述べた動画もあわせて公開されているという。所信では、今後の京大のあり方について候補者が1500字程度で考えをまとめ、様々な話題に言及している。

大嶋氏は、教育・研究の現場を重視し、各部局や学生との対話の機会を増やすと表明した。このほか、新たな授業形態の模索や職場環境の整備、産学連携の強化を掲げ、「教職員・学生の無限の可能性を信じ、理想を目指して京都大学を進化させていくことに努めたい」とした。

北野氏は、学部生の大学院教育への誘導や今般の状況で進んだオンライン化への対応を課題に挙げ、教育システムの見直しが重要だと指摘した。国際高等教育院の立ち上げに携わった経験をふまえ、「教育を充実させることで、研究力の底上げにつながるだけではなく、社会の要請に応えることにもなる」とした。

寶氏は、財政、研究、教育などの項目の頭文字をとった「WAVE of FREEDOM施策」を掲げた。財源確保策として「京大債」の創設を挙げたほか、文理融合研究の推進や課外活動施設の補強、雇用制度の見直しなどを実施すると表明し、「伝統と進取先端の京大を確立する」とした。

時任氏は、構成員との対話を通じて各種制度の改善を図ると表明した。国際化や分野特性をふまえた教育システムの構築を目指すとしたほか、研究活動の推進や安定的財源の創出、広報戦略の充実を掲げ、「知識と経験をもとに京都大学の『再起動』に取り組みたい」とした。

湊氏は、理事として指定国立大学への選定に向けた議論を主導したことを紹介し、その理念の柱に据えている研究環境の整備をさらに推進すると表明した。また、組織改革や国際化といった課題を挙げ、これらに対して「すべての教職員学生とともに立ち向かっていくことができるならば、望外の喜び」とした。

村中氏は、部局の自治やボトムアップ型の意思決定を堅持すべきとした上で、部局長の判断に委ねる事項を増やし、効率化を進めると表明した。このほか資金獲得の努力や研究の推進を掲げ、「学問に打ち込む環境を改善し、その結果として、本学の機能や評価を高めることが肝要」とした。

意向調査では、教員および課長補佐相当職以上の職員が投票を行う。その結果などを総合的に考慮した上で選考会議が総長候補者1名を選定し、文部科学大臣の任命を受けて正式に就任となる。

7月16日23時00分配信

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