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京大病院で看護師逮捕 カルテ不正記録の疑い

2010.03.12

昨年11月、京大病院に入院していた90歳代の女性患者が不審な低血糖発作を繰り返した事件で、京大病院は3月2日記者会見を開き、同病院勤務の看護師木原美穂容疑者(24)を「虚偽の血糖値を故意に記載した」として公電磁的記録不正作出と同供罪の容疑で同日逮捕されたと発表した。

昨年11月に入院中の90歳代女性患者が3日続けて低血糖発作を起こし、そのうちの14日と16日の2回の発作について、危険な低血糖状態に陥っているにもかかわらず木原容疑者は実測とは異なる数値を公式なものとして電子カルテに記録し、患者の生命を故意に脅かした疑い。翌17日、循環器内科から医療安全管理室に原因不明の発作についての報告があり、病院内で検討した結果、インスリンが投与された事件性も否定できないとして21日に警察へ届け出た。今年2月22日、看護師が患者の血糖測定値を高く記録した事実を認めたため病院は警察に告発し、京都府警は今月2日に木原容疑者を逮捕した。動機に関して、「(事件の)3ヶ月ほど前から自分が受け持つ患者に急変が多い事、あるいはそのことに関する同僚からの他愛のない軽口を苦にするあまり、咄嗟に正常な思考が出来なくなった」という。患者は一時重体だったが回復し、昨年退院している。

病院が設置した調査委員会の見解によれば、看護師は患者に生命の危険が近づいていることを把握しつつも、周囲には正常であるかのように繰り返し報告。特に11月16日の発作に関して、わずか2日前に重篤な低血糖発作を目撃していたにもかかわらず、同僚が気付くまでの4時間にわたって嘘の報告をし、処置を怠った。架空の数値を記録し、いかにも低血糖が突然発生したかのようにねつ造。容態急変後は、原因が低血糖であることを一人知りながらも同僚の緊急対応に加担する素振りを見せ、ある時点で低血糖に気付いたふりをして処置したという。

木原容疑者は2年勤めたが勤務態度は真面目で、精神科へ通っていた事は無く、いじめなども把握していないという。中村孝志院長は、「看護師に情状酌量の余地は無く、院内に医療倫理を徹底し再発防止に努めたい」と語った。