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バイオマス・CO2を地産地消 山形・宮城で産業モデル検討

2024.10.01

京都大学と日本総研、京大オリジナルが結ぶカーボンサイクルイノベーションコンソーシアム(CIC)は9月18日、山形県と宮城県の特定地域における「カーボンサイクル素材産業モデル」構築に向けた検討を開始したと発表した。カーボンサイクル素材の地産地消を行うモデルを築き、地域内での炭素循環の実現を目指す。

CICは23年9月に結成された産学連携の協業活動で、カーボンニュートラルの実現に向け、京都大学の技術を民間コンサルの知見と融合させて社会に実装することを目指している。カーボンサイクル素材は産業部門から排出されるバイオマスとCO2を原料としており、合成繊維や合成肥料といった石油素材の代替が期待される。

モデル構築を目指す地域は、山形県の庄内・酒田エリア、および宮城県の石巻・岩沼エリア。どちらもバイオマスを供給する農林水産業と、バイオマスやCO2の供給とともに素材変換を担う素材産業があり、カーボンニュートラルを実現するための産業が揃っている。両地域に着目する理由として、京大オリジナルは「コンセプトの実現に積極的な企業・地方公共団体」との関係をあげた。庄内・酒田エリアではバイオマス発電所、石巻・岩沼エリアでは製紙工場を中心にモデルを検討し、さらに中長期的には両地域間での連携も検討するという。

CICではカーボンサイクル素材産業の体制構築や事業性検討を、会員と現地の公共団体・企業との対話を通じて進めている。CO2の回収利用技術とバイオマスを原料とする生産技術を組み合わせたプロセス設計、公共団体による購入や排出量取引を通じた需要創出も行う。

検討期間は24年度末で終了するが、現地の公共団体や企業とCIC会員が連携し、25年度以降も両地域でモデルの実現に向けた活動を継続する見通し。