ニュース

爬虫両棲類研 クラファン立ち上げ オオサンショウウオ保護へ

2024.08.01

爬虫両棲類研 クラファン立ち上げ オオサンショウウオ保護へ
京大爬虫(はちゅう)両棲類学研究室は7月16日、日本固有のオオサンショウウオの調査・保全活動を目的としたクラウドファンディング(CF)を開始した。外来種や交雑個体の増加による絶滅危機の打開を目指す。

日本産オオサンショウウオは国の特別天然記念物に指定されており、絶滅危惧Ⅱ類に分類される。かつて、食用やペット用に輸入された中国産のチュウゴクオオサンショウウオが日本の河川に流出し、日本産の個体が生息場所や繁殖場所、エサを奪われる状況が続いている。日本産と中国産の交雑個体の割合も年々増加しており、鴨川では交雑個体が90%以上を占めるという。

中国産および交雑個体は寿命が長く、攻撃的で繁殖場所を独占するため、2024年7月に特定外来生物に指定された。この際、日本産と中国産の交雑個体も特定外来生物に指定された。CFのサイトによると、特定外来生物に指定された個体の多くは殺処分されることが予想され、殺処分の猶予は約半年間だという。研究室は、「チュウゴクオオサンショウウオと交雑個体に罪はありません」としながらも、「今年のうちに十分に研究ができなければ、日本のオオサンショウウオを守れなくなる可能性もある」と危機感を募らせる。そして、猶予期間における、オオサンショウウオの大規模な調査や保護の必要性を訴えている。

CFの第一目標は9月13日までに400万円。第一目標の達成後には700万円を第二目標に、さらに1000万円を最終目標としてCFを継続する予定だ。寄付金の使い道として▼捕獲した個体が日本固有種か交雑個体かを判別するための遺伝子鑑定▼調査用具の購入費▼学会・国際会議参加費▼論文投稿費などを挙げる。寄付はCFサイト「READYFOR」にて募っており、8月6日現在、約330万円の資金が集まっている。

爬虫両棲類学研究室は、京大や東京都立大のメンバーによって構成された研究室で、水族館や動物園、一般企業と連携して研究活動をしている。研究活動の他に、小学生や中高生へのイベントなども開催している。