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京大 「西田哲学」助成へ基金設立 KDDI創業者・千本氏が3億円寄附

2024.07.01

京大 「西田哲学」助成へ基金設立 KDDI創業者・千本氏が3億円寄附

(左から)記者会見に登壇した湊総長、千本氏、上原教授

6月26日、京大は、KDDIの共同創業者で卒業生の千本倖生(せんもと・さちお)氏から3億円の寄附を受け「西田哲学―千本基金」を創設した。今年度から10年間、文学研究科の日本哲学史専修を助成し、研究者の確保や史料整理を行う。成長戦略本部が主導して実現したもので、今後も基金への寄附を募る。

日本哲学史専修では、西田幾多郎が築いた西田哲学や西田を基盤として発展した京都学派などの研究を行うが、現在専修の専任教員は上原麻有子教授のみ。26日の記者会見で、上原教授は「国内外で西田哲学への関心が高まっており、近年は学生数が増加傾向にある」と述べた。しかし海外の学生の受け入れには、論文指導に加えて手続きや帰国後の進路相談などが必要であり、「学生全員に満足のいく教育を提供することが難しい」と説明した。さらに、京大が所蔵する京都学派の書簡や草稿が未整理のままであり貴重な史料が散逸・消滅してしまう懸念があったと明かした。

千本氏は京大工学部の卒業生で、KDDIの共同創業者としても知られる。3月、京大側から3億円の寄附を打診したところ、千本氏がその場で快諾し、基金を創設することとなった。千本氏は「日本経済の回復には哲学が重要だ」と指摘し、「寄附文化が盛り上がるきっかけとなれば嬉しい」と述べた。

基金は文学研究科が管理し、▼研究者の確保▼専門史料の整理と一般公開▼シンポジウム開催や海外から研究者の招へい▼事務・経理を担う職員の確保に充てる。上原教授は人事計画について、教員1名、史料整理を行う研究員1名、事務1名の少なくとも3名を雇用すると述べた。整理した史料は、専修が運営するウェブサイト「京都学派アーカイブ」に掲載する。

湊長博総長は、大学の資金不足に関する質問に対して、国からの運営費交付金減少の事実を認めた上で、「実学志向になってしまい、重要だが手の及ばない領域が出てきてしまう」と述べた。千本氏からの寄附を契機として、今後さらに基金が集まることに期待を示した。