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吉田寮 建て替え提案白紙に

2006.11.01

十月二三日(月)、午前九時半から文学部新館第三講義室にて、大学当局が提案した吉田寮建て替えに関して副学長団体交渉が開かれたが、時間切れで 確約の合意に至らず、今回の建て替え堤案は流れた。十月六日(金)に回答期限十月二三日(月)を提示されて以降、寮内では建て替えの是非をめぐる議論が紛 糾したが、最終的に、新寮の条件確約案をもって、団交に臨んだ。

大学当局からは東山副学長のほか、山下学生センター長、寮務担当職員、寮関係を担当する第三小委員会の教員らが出席し、学生側は吉田寮の寮生、関 係者、一般学生ら合わせて六〇人ほどが集まった。今回の団体交渉には、東山副学長の理事懇親会出席を理由に、二時間半の時間制限が設けられていた。
吉田寮自治会執行委員の司会進行のもと、寮自治会が東山副学長に提出した確約案の内容について、双方の間で話し合いが行われた。確約案の中では、新寮に おいても寄宿料を現状維持(月四百円)とすることや、定員を三〇〇名以上確保すること、周辺跡地を学生の自治空間にすることなど、十五項目が要求されてい る。
二時間半の交渉では、この十五項目すべてに話が及んだが、寄宿料、定員、敷地面積などの項目で意見が合わなかった。それらを保留したまま次の項目に移って いき、最後の項目である建替え後の跡地の利用方法について話し合っているとき制限時刻の一二時を過ぎ、確約は交わされぬまま団体交渉は打ち切りとなった。
この日は当局による建替え提案の回答期限であり、団体交渉の結果を受けて東山副学長は、午後の理事懇談会の場で、予算申請の話を取り下げた。この結果、今年度の中期予算計画による建て替えはなくなった。
吉田寮自治会は、翌週の十月二十九日に寮生総会の場で、今回の団交の総括を行ない、今後の対応を検討していく模様だ。

【十月中の動き】



回答期限を提示された十月六日以降、寮内の議論は紛糾した。自治会は臨時総会を繰り返すとともに、当事者は寮生だけではないとの観点からの寮外生向け説明会及び公開会議を開いた。
また、大学当局に対して、十二日には副学長団体交渉を要求し、十八日には団交に先立つ全学向け説明会を行うことを要求した。これに対する当局の回答は、東 山副学長懇談会団交は一時間半のみ。全学向け説明会は開催しない。寮自治会は、当局のこの対応を、大学と学生等当事者との合意形成を軽視するものだと批判 した。
十月六日に回答期限二十三日を示したのでは、これら多くの当時者が話し合いに参加するには期間が不十分であったとして、寮自治会は十九日大学側の責任を追及する抗議文を提出した。

【期限の提示以前】



吉田寮自治会配布の資料によれば、今回の大学側からの建て替え提案の経緯をは次のようなものである。
八月、学生センター長から吉田寮自治会に、近く学生関連施設のための予算が獲得できる可能性があるから、そこで新寮建設の予算を申請しないか、という提案がそのための条件とともに二度にわたってあった。
この時点で提示された条件は、寄宿料月一万五千円(現在は四百円)、入寮面接に職員が立ち会う(現在は寮自治会が決定)、などで、これは、これまで吉田 寮と当局の間で交わされた合意とかけ離れたものであり、また夏休み中で寮生が少なく新寮建設に合意するという重大な意志決定は不可能と考えたため、寮自治 会はこの提案を断った。この際、学生センター長から新寮について継続審議を求 められたが、寮自治会は、継続審議は近い将来の予算申請をにらんだものではなく、長期的な視野にたったものと認識し、了承していた。
その後、九月末に学生センター長と寮務職員が吉田寮に訪れ、上記の予算申請の話がまだ継続し、予算申請の期限を引き延ばしていたこと、及び学生センター 長と東山副学長の提示した条件に寮自治会が同意できるのならすぐに申請できる状態で待機していたことの二点を明らかにした。
この段階では回答期限などは明示されず、自治会はそれほどさし迫った議題であるとは認識していなかったが、十月六日、学生センター側から自治会に、回答の期限が十月二十三日である事が告げられた。
寮自治会は以上のように経緯を説明し、大学当局の設定した期限は一方的で非常に厳しいものであったことを強調した。

【認識のずれ】



一方で山下学生センター長と寮務担当職員は、期間は決して短くなかったはずだと話す。
両氏の説明によれば、学生センターは八月の段階ですでに、寄宿料四三〇〇円~四七〇〇円、定員二〇〇名程度、周辺跡地の学寮以外の利用の他、自治会によ る入退寮者の決定などの項目も示していた。その後、遅くとも九月の九日までには、理事懇談会の場で建て替え案が議題になっているということを伝えて、寮内 での検討を促したと話す。
その後も自治会とやりとりを重ねてきていて、十月六日から回答期限を考えるべきではないと強調した。最後に、「団交でもっと時間があれば、きっと合意してくれたと今でも信じている」とコメントした。