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理学研 サル調査中に院生死亡 安全管理「大幅に」改訂

2023.09.16

2月4日、理学研究科修士1回生の学生が、屋久島でサルの調査中、滑落事故により亡くなった。理学研究科は8月2日に事故を公表し、未然に事故を防ぐ取り組みを徹底するため、「野外調査の安全管理のためのガイドライン」を改訂したと発表した。

当該学生はヤクシマザルの群れを追い、食性の調査をする中で滑落事故に遭った。調査委員会は急峻な場所に立ち入ったことを事故の一因と推定する。なお、野外調査の経験を積んでいたことから、学生は昼間の単独行動が許可されており、事故当時も一人で行動していたという。

学生が所属していた野生動物研究センターは6月15日にガイドラインを改訂した。改訂版では、従来版に盛り込まれていた事故時の対応などはそのままに、未然に事故を防ぐ対策が強調された。具体的な対策として、▼指導者に安全重視の雰囲気の醸成を求める▼注意を要する調査は複数人での実施を原則とする▼修士1年生の間は一般の人が立ち入らない野外調査地での動物追跡型の調査を禁じる▼野外調査を経験した学生にも、安全訓練を実施して毎年、安全教育を行う、ことを挙げる。また、調査時には携帯電話か無線機を持参し、定時連絡することを義務づける。くわえて、学生が記入する「安全対策点検表」の提出期限は、出発の1週間前から2週間前に変更し、より時間をかけてその内容を吟味した上で調査の可否を決めるという。

本紙の取材に対し大学は、調査前のみならず、調査中の指導教員との連絡や調査後の報告書提出を通し、常に安全第一を唱えて行動に反映させ、研究活動の安全性向上のために「不断の努力」を続けるとした。