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西部調査で流路・景石発掘 中世京都歴史復元に貴重な一歩

2009.04.22

西部課外活動施設(西部サークルボックス棟)建設工事に伴い、昨年末から埋蔵文化財調査が行われていた西部構内の建設予定地で、発掘調査の結果、中世の庭園を構成していたとみられる白砂の堆積する流路や庭石の遺構など鎌倉時代のものとみられる多数の遺跡が発掘され、3月30日には文化財総合研究センタ―の伊藤淳史助教により現地説明会が行われた。

前回調査では昨年4月に鎌倉時代の石敷き等が見つかり、西園寺公経の営んだ別邸吉田泉殿の建造物に相当している可能性が高いとされていた。今回の調査では北東ー南北方向に走る浅い流路状遺構2条や石、井戸などを発見。景石の配置から流路は単なる自然河道ではなく庭園を構成していた河だと判断され、自然地形を巧みに取り入れた「吉田泉殿」の庭園的空間を構成していた遺構であるとみられるという。

鎌倉時代の貴族邸やその庭園については断片的な調査成果しかなく、センターは「今回広域での様相が把握できたのは、考古学のみならず、中世京都の歴史復元にとって重要な情報を提供する大きな意義のある成果」としている。

同地では10日まで引き続き調査の後、埋め立て、地盤改良等の工事の後に西部ボックス棟の残りの部分:CUBE C~E(A・Bは昨年10月に完成)を建設。完成は10月末となる。



《本紙に写真掲載》