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情報公開請求者の名字を誤公表か 京大 本紙の指摘後 非表示に

2023.07.01

情報公開請求者の名字を誤公表か 京大 本紙の指摘後 非表示に

問題の3ファイル。現在は検索できなくなっている。(画像の一部をモザイク処理しています)

京大がインターネット上で公開している文書検索システムを通して、京大に情報公開を請求した個人のものと思われる名字が一部閲覧できる状態になっていたことが、本紙の指摘で発覚した。当該ファイルは現在検索できなくなっている。京大は本紙の取材に対し、事実関係などは「個人情報保護のため、お答えいたしかねる」と答えた。

公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)は、国立大学に対し、法人文書を適正に管理するよう義務付けている。法人文書とは、法人の役員・職員が職務上作成・取得し、法人が組織的に用いるために保有する文書のこと。同法は、相互に密接に関連する法人文書をまとめた「法人文書ファイル」の分類や名称、保存期間などを管理簿に記載し、事務所やウェブサイトにおいて公表することも義務付けている。ただし、個人情報など、情報公開請求をした場合に開示されない類の情報は、記載の対象から除外されている。

京大は、法人文書ファイルを検索するシステムをインターネット上に整備し、公開している。本紙の編集員が6月、分類を「情報公開に関するもの」とし、ファイル名の欄に「様」と入力して検索すると、「情報公開関係 〇〇様」という名称のファイルが2件、「情報公開③ 〇〇様 平成23年度~」というファイルが1件表示された(〇〇には名字が記載されている)。同システムによれば、ファイルはいずれも「医学部附属病院総務課企画・広報掛」が作成・管理するもので、2012年度から14年度にかけて登録された。

国立大学などを対象とする「独立行政法人等情報公開法」によれば、「個人に関する情報」であって、氏名などにより「特定の個人を識別することができるもの」や、「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」は、情報公開請求をしても、原則開示されない。職員などを除き、個人の名字は少なくとも後者に該当し、通常不開示になると考えられる。今回問題となっている名字が「情報公開請求を行った個人の名字」ならば、管理簿への記載の対象から除外されるべき情報といえるだろう。

本紙が京大に質問を送信した後、ファイルは3件とも検索結果に表示されなくなった。京大は理由を明らかにしていない。