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アラン・ケイ氏に名誉博士号 「未来を予測するには未来を作ることだ」

2009.02.08

京大は1月20日、アラン・ケイ氏に名誉博士号を授与した。アラン・ケイ氏はパーソナルコンピュータの構想をつくり、オブジェクト指向の研究で著名。名誉博士号授与のあと、百周年記念ホールで講演をした。

講演では、「NEWS」と「NEW」の違いに触れ、エンジニアはNEWを目指すべきだと話した。ものごとはNEWSとNEWの側面がある。NEWSは、既存のパラダイムでとらえることができ、広まるのは10秒でじゅうぶんである。しかしNEWは浸透するのに30年以上かかり、見方や展望が変わる経験をともなうと語った。NEWは現在のベストプラクティスでは役に立たないようなものであるが、コンピュータサイエンスやソフトウェアエンジニアリングは10年後も残るようなものを作るべきだといった。また、それは生命的であったりシステム的なもので、日本やアメリカでは教えていない、と話した。

名誉博士号は京大の教育研究に寄与した功績を認める場合と学術分野での顕著な功績がある場合に贈られるが、ケイ氏は両方の条件を満たしている。ケイ氏は、03~06年に客員教授として情報学研究科の情報教育環境分野の客員教授を務めた。在任中は、京都市内の小学校で、開発した科学教育用のプログラミング言語Squeakを情報教育実践に活用した。また、UCLAとのリアルタイム授業にも出演。他には修士課程の院生の指導をしていた。

講演の最後にケイ氏は、「私たちは何時間もパソコンの前にいる。そのパソコンを家とした時、家が欲しいのか、子ども達が住めるような家とは何かを考えなくてはいけない」と結んだ。