企画

ライトアップで自然信仰を表現 狸谷山不動院 「灯しの森」

2022.11.01

ライトアップで自然信仰を表現 狸谷山不動院 「灯しの森」

第1回目の「灯しの森」(22年3月)

一乗寺の駅から東へ歩くこと20分、緑の多い住宅街の坂道を上ってゆくと、谷筋の一番奥にあるのが狸谷山不動院(たぬきだにさんふどういん)だ。標高301メートルの瓜生山(うりゅうやま)山腹に建つこの寺院で、11月21日からライトアップイベント「灯しの森」が行われる。企画・運営は学生団体「Good Samaritan Club」に所属する京大工学部3回生の宮田大樹(みやたひろき)さんら9名。ことし3月に第一回目が催されており、今回は二度目の開催となる。

「灯しの森」は日本の伝統的な信仰の形である自然信仰に焦点をあて、森を光で包むイベントだ。会場である狸谷山不動院のもととなったのは、13世紀に洞窟内に安置され、地元の住人に祀られてきた不動尊像。18世紀に、朋厚(ともあつ)法師が参籠・修行の場として見出したことをきっかけに、寺院として開かれた歴史がある。もともと自然の中にあった信仰の場に、後からお堂が建ったという歴史的背景を踏まえ、建物ではなくあえて森を照らすことで、同地での信仰のあり方を目に見える形で表現している。

コロナでガイド活動に制約イベント通じ日本文化発信


「Good Samaritan Club」は京都を訪れる外国人観光客を案内するガイド団体。1961年の設立以来、50年以上にわたり外国人観光客を相手にガイドを務めてきたが、2020年以降コロナの影響で訪日観光客が激減。活動が出来ない状態が続くなか、「日本文化の発信」というクラブ本来の活動趣旨に立ち返り、イベントを企画したという。

第一弾としてことし1月、左京区南禅寺の無鄰菴(むりんあん)で、明治・大正期の日本の冬を題材とする「こたつde庭喫茶」を開催した。第二弾として自然信仰を主題とするライトアップイベントを企画。趣旨に賛同する狸谷山不動院の協力を得て、続く3月に第一回目の「灯しの森」を催している。

第一回目の「灯しの森」では、イベント運営の資金を確保するため、クラウドファンディングを立ち上げた。2月から1か月で約50万円の寄附を集め、開催にこぎつけたものの、目標金額である150万円には届かなかった。イベント当日は天候にも恵まれず、来場者数は5日で370名に留まった。だが、一回目の開催で地域とのつながりも生まれ、二回目となる今回は和菓子店の一乗寺中谷や、豆腐店の一乗寺とうふなど、地元からの支援を得られたという。

今回のライトアップに先立ち、運営メンバーは広報活動に力を入れている。市内の商店街などを回ってポスターを配布し、テレビや情報誌の取材もとりつけた。宮田さんは「自然信仰に根ざした日本文化を多くの人に発信したい」と意気込みを語った。イベントの数か月前から実地で実験を繰り返しているという。一回目との差別化を図り、今回は「秋」を意識して制作が行われる。光の色を工夫するなど季節にふさわしいライトアップになる予定だ。風船にライトを入れて浮かべる幻想的な演出もある。当日はクラブのメンバーによる簡単なガイドが受けられるそうだ。

会期は11月21日から27日まで。各日18時から21時まで開催されている。期間中は毎日出町柳駅から無料シャトルバスの運行がある。入場料は一般1000円、小中高生500円、小学生未満は無料。イベントの詳細は公式SNSおよび狸谷山不動院のホームページを参照されたい。(汐)