ニュース

クモ糸1千種超 データベース化 人工糸の創出に期待

2022.10.16

理化学研究所、京大、慶應大からなる国際共同研究チームは、10月13日、世界1千種以上のクモからクモ糸を採取し、タンパク質の構造と糸の性質をひも付けたデータベース「Spider Silkome Database」を作成したと発表した。クモ糸について構造と物性を集約した網羅的なデータが作成されるのは世界初だという。

研究チームは、各地域に生息するクモを採集した後、細胞からRNAを抽出し、クモ糸タンパク質の種類や遺伝子情報を解析した。また、牽引糸と呼ばれる強度の高いクモ糸について、引張強度や伸び率などの力学的性質を測定し、両者をひも付けたデータベースを作成した。京大からは工学研究科の2教授が参加した。

作成したデータベースから、牽引糸を構成するMaSpタンパク質に含まれる特定のアミノ酸配列が、クモ糸の持つ高い強度に寄与することが示唆されている。

アミノ酸配列から物性を予測した分子設計により、人工クモ糸材料の自在な創製が可能になると期待される。本研究は、アメリカのオンライン科学雑誌『Science Advance』に掲載された。