被験チンパンジーの治療費募る 京大の飼育施設 クラファン実施
2022.10.01
チンパンジーの健康を害する医学研究は2006年に停止された。現在、熊本サンクチュアリにはC型肝炎ウイルスに感染しているチンパンジーが8個体飼育されており、肝臓や腎臓に残った障害で寿命が短くなると分かっている。
治療薬は1錠あたり約2万円弱で、1日1回数ヶ月継続して投与する必要があり、1個体の治療に約400万円かかるという。大学の予算では、動物の健康管理や福祉向上を目的とする活動の優先順位が低く、学外から支援を募ることになった。野生動物研究センターの平田聡(さとし)教授によれば、どの個体から治療するかは、年齢が若い個体を優先しつつ、症状の重さなどの要因を考慮して判断される。募集期間終了後に残りの治療費をどのように集めるかは、関係者と協議して検討するとした。
熊本サンクチュアリは今年の1月にも、機器の購入や施設の修繕などを目的にクラウドファンディングを行い、目標金額を約200万円超える約950万円を集めた。平田教授によると、沢山の応援メッセージに励まされた経験をもとに、今回のクラウドファンディングを行おうと考えたという。支援者には、支援金額に応じて、オリジナルグッズやチンパンジーの動画、セミナー、見学ツアーなどが提供される。
熊本サンクチュアリは、チンパンジーを47個体、ボノボを6個体飼育する施設で、熊本県宇城(うき)市に所在している。1978年の発足当時は民間研究所の施設だったが、2007年に京大霊長類研究所との間で運営協力が開始され、11年に全ての施設が京大に移管された。