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文系保健室 閉鎖 学生らが抗議

2022.09.16

文系保健室 閉鎖 学生らが抗議

8月に閉鎖された文系保健室(=法経済学部北館2階)

文系保健室が8月末に閉鎖された。4月に再編・新設された学生総合支援機構の吉田相談室への統合によるもの。保健室は利用者に対し、今後は吉田相談室を利用するよう呼び掛けている。一方で、学生らは閉室に対して8月12日付で抗議声明を発表した。

文系保健室は法学部生や法学研究科、公共政策大学院生向けに法経北館に設置されていた。利用件数は毎月10件ほどだったものの、養護教諭資格をもつ専門スタッフが常駐し、予約をせずに訪ねられる保健室として、「調子が悪い際にひとまず助けを求められる安心感があった」といった声があった。

当室は4月にツイッター上で閉室を発表した。来室者には随時、直接伝えてきたという。京大は8月23日付でKULASIS上で声明を出し、文系保健室を閉室し学生総合支援機構に統合した理由について、部局間でのメンタルヘルス対応の温度差をなくし、相談員の孤立や業務偏重を防ぐ目的があるとしている。

この決定に対し、法学部学生自治会が8月12日付で抗議声明を発表した。抗議文には▼予約必須化などにより利用者への障壁が増えること▼受診時間が厳格に区切られ柔軟な対応が難しくなること▼拠点が分散しているメリットが損なわれること▼学内の救急機能を喪失することなどを挙げ、閉室の撤回、または問題点の解決を求めた。

また、自治会はツイッター上で利用者の声を収集した。それらの中には、相談相手が周囲にいない際に話を聞いてもらい心が救われたという声が見られた。さらに、教員から利用を促すことがあったという。また、精神的に不安定な時に予約不要で気軽に相談できる場がなくなることや迅速な対応ができなくなるといった懸念の声も集まった。

京大は本紙の取材に対し、法学部自治会の抗議文について、「届いていないのでコメントは差し控える」と回答した。9月5日以降は教育推進・学生支援部棟の吉田相談室に養護教員の資格を持つ専門スタッフが常駐する。利用の際は電話や口頭での予約が必要となる。また、体調不良や怪我の対応については、健康管理室の簡易ベッドを一時利用することが可能だと説明した。