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支援職員制度 運用本格化 事務負担の軽減図る

2022.09.16

京大は10月から支援職員制度の運用を本格的に開始する。支援職員は、研究室や事務部門で定型的な業務に従事する。雇用形態は無期雇用で配置転換は原則行わず、引継ぎといった事務負担の軽減を図っている。

同制度は今年4月に先行的に運用を開始した。制度の本格化に伴い、時間雇用職員のひとつである事務補佐員の雇用形態が変わる。10月以降に採用される事務補佐員の雇用期間は、1年以内に限られる。さらに、すでに雇われている職員に、5年の契約期間が終わった後も雇用継続を認める「例外措置」が廃止される。

「同一賃金同一労働への対応」盛り込まれず


職組「交渉経過を無視」と批判


職員組合によると、制度は本来「事務負担の軽減」に加えて「同一労働同一賃金への対応」を目的に大学が検討していたものである。大学は、交渉や会見の場で「時間雇用教職員の処遇」を問題視し、制度の導入を通じて雇用契約の違いによる待遇格差の是正を図るという趣旨の発言をしており、改善を訴えてきた組合は「前進」と受け止めていた。しかし、今年7月の団体交渉において理事が「時間雇用教職員の待遇は同一労働同一賃金原則に反していない」と回答。これに対し組合は、「交渉経過を無視した背信的なもの」と批判している。

さらに、組合は▼「例外措置」の廃止によって、一部の事務補佐員は、任期満了後に支援職員に採用されない限り、京大で働き続けられないこと▼10月の支援職員の募集は50名程度で、雇い止めにあう事務補佐員の受け皿になるとは考えにくいこと▼無期雇用に転換した事務補佐員が支援職員に採用された後、「試用期間」終了後に雇い止めにあう恐れがあることなどを制度の問題点として指摘した。

京大によると、9月時点で事務補佐員の数は1630名。大学は4月と10月の年2回、支援職員の募集を継続し、雇用中の事務補佐員について空白期間を経ない支援職員への登用を可能とする方針を示している。組合は「例外措置」の継続や、既に京大で勤務している職員の「試用期間」免除を求めており、今後は法的措置も視野に入れて待遇改善を求めていく見通し。