文化

京大雑記 第5回 煙草考:学内全面禁煙から3ヶ月

2008.07.16

京都市が路上喫煙禁止区域を設けて一ヶ月が経過した。違反者には千円が科され、このひと月の間で80人が過料を支払ったという。なかには「禁止区域だとは知らなかった」などと言い逃れをする人もいたとか。それでも「罰金」効果はあったようで、市は「路上喫煙は確実に減った」としている。
京都大学では今年4月から全キャンパスを屋外全面禁煙とした。宇治キャンパスや病院がすでに実施しており、それに準ずるかたちで、定められた場所以外での喫煙は禁止となった。

この禁煙措置、学内のどれくらいの人が承知しているか疑問に思うことがある。4月1日付けで発表されたが、一部の広報掲示板で知らされただけで、おそらく多くの学生は目にしてはいまい。禁煙場所を告げるマークや掲示もそれほど増えてはいない。3ヶ月が経過したが、未だに喫煙場所以外でたばこを吸っている人を結構見かける。キャンパス内の随所にあるベンチのまわりには、必ずと言っていい程吸い殻が落ちている。灰皿が付近にはないからだ。全面禁煙が決まってから学内の灰皿(=喫煙指定場所)の数は減った。結果的に吸い殻は地面に捨てられる。もちろん、ポイ捨てする方が全面的に悪いのだが。

「ベンチに座って一服している学生」という風景に違和感を覚える人がどれほどいるだろうか。まして「禁煙ですよ」と注意する人は皆無ではなかろうか。ものすごく勇気を振り絞って、吉田南のプロムナードでベンチに腰掛けてタバコを吸っている男性に注意してみた。返ってきたのは「禁煙場所だとは知らなかった」という答え。嘘ではなかろう。全面禁煙のことは一切知らなかった。彼に限らず、喫煙者のリラックスした表情に、自分が違反していることを知っている様子は見られない。

私が愛煙家でも嫌煙家でもないことを断った上で、この禁煙措置には苦言を呈したい。

まず全面禁煙の告知が不徹底であること。禁煙場所ではない、喫煙場所が設定されているのだ。原則と例外が入れ替わったということをもっと周知しなければならない。

もうひとつ、喫煙場所の設定を含めた禁煙の実施が各部局に任せられていることも問題だ。環境安全衛生部では各部局に現状を確認する調査を実施中だというが、部局によって、もっと言えば担当する人間によって禁煙に対する意識はばらばらだろう。やるなら全学的にはっきり禁煙対策をするべきだ。学内規定に明記することもあっていいと考える。

京大に限っては、喫煙者のマナー云々以前の問題だと思う。環境安全衛生部および各部局は対策と周知活動を徹底して欲しい。京都市のように何らかのペナルティがあれば効果は上がるかもしれない。あるいは喫煙場所が少ないという声もあるかもしれない。学生も大学における喫煙のあり方を考えなければならない。(秀)

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