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スマホアプリで不眠を改善 生活習慣の改善に有効

2022.08.01

京大医学研究科の石見拓教授、学生総合支援機構の降籏隆二准教授らは7月26日、「睡眠プロンプトアプリケーション(SPA)」というスマートフォン向けアプリの有効性を実証したと発表した。これは睡眠薬を用いず生活習慣から不眠症を改善する不眠症の認知行動療法(CBT-I)を応用したもので、沖電気工業、ヘルステック研究所との共同研究で行われた。

スマートフォンアプリケーション等を介したCBT-Iのプログラムが、対面での専門家による治療と同等の効果があることは、これまで示されてきた。しかし、治療からの脱落率が高いうえ、軽度の不眠症を含む臨床実験での有効性の検討は十分とはいえなかった。

今回の実験では、116人の睡眠の問題を自覚している労働者を無作為に2群に分け、片方の群にのみアプリ上で睡眠記録を付けたうえで、各自の睡眠データやライフサイクルに合わせて最適化された睡眠改善プログラムを送信した。これを4週間行い、不眠重症度質問票(ISI)によって不眠の度合いを測定した結果、初めのISIは両群とも平均値9.2だったのに対し、4週間後にはSPAを適用した

群が6.8、対照群が8.0となった。この結果により、臨床実験におけるSPAの有効性が示された。

SPAは、労働者の睡眠問題の解決において、重要な役割を果たす可能性がある。年齢層や文化的背景が異なる被験者に対象を広げ、さらに研究を進めていく必要だという。