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総合生存学館 運営に全研究科が参画へ 学館長を総長が「指名」

2022.07.16

2023年4月から、総合生存学館の運営方式が変わる。学館の教授会で選出していた学館長を、総長が「指名」するようになるほか、重要事項の決定に他研究科が参画する。京大は変更の目的を「全学的な協力体制の構築」と説明する一方、職員組合は学館の「権利をはく奪」するものとして批判している。変更は昨年7月から特別委員会で議論を進めてきた。6月28日に京大は関連する規定の変更について、達示第55号で公表した。

変更点のひとつは、これまで学館の教授会の議にもとづき総長が任命していた学館長を、全学的な審議機関である教育研究評議会の議を踏まえ、総長が「指名」するようになることだ。学館長には京大の専任の教授に加え、副学長も就任可能になる。また、学館長が指名する副学館長は、これまで学館の教授から選ばれていたが、変更後は他部局の教授も指名できるようになる。

さらに、予算や人事といった重要事項を審議する機関として、「協議会」が新設される。協議会は学館長・副学館長に加え、他研究科の研究科長なども加わって運営される。全研究科が学館の運営に参画することになる。

6月末の役員会で学内規程の一部改正について協議し、変更の決定に至った。京大は一連の変更は「全学で審議・決定されたもの」と説明している。

昨年7月、研究科長部会に「総合生存学館教育研究体制等の在り方検討特別委員会」を設置。同委員会は今年4月、学館のあり方の見直しに関する報告案を提示した。

この変更をめぐり、職員組合は4月の団交申入書で、学館の「設置認可内容に反する改変」と指摘したうえで「所属教職員が含まれない特別委員会で決定・強行し人事・教育・研究の権利をはく奪」していると批判していた。

今回の変更の意図についての本紙の取材に、京大は、学館がこれまで「分野横断的な研究力」を活かして「グローバルリーダーの養成」に取り組んできたこと、社会情勢の変化によって人材養成の要請が高まっていることを挙げ、「全研究科が主体的に総合生存学館の運営に参画することで全学的な協力体制を構築」し、学館の教育の充実を目指す、と回答した。

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【総合生存学館が入る東一条館外観】