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病院の水害対策タイムライン策定 20年豪雨被害の熊本・人吉で

2022.06.01

京都大学防災研究所の角哲也教授ら、清水建設株式会社、人吉医療センターは共同で、工学と医療現場の知見を連携させることにより「水害対策タイムライン」を策定した。5月6日には策定したタイムラインに基づく防災訓練を行った。今後、全国の病院での水害タイムライン防災計画のモデルとなることが期待される。

2020年4月に京都大学防災研究所は、歴史的な豪雨の際には全国の感染症指定医療機関のうち約3割が浸水する可能性があるという調査結果を公表した。こうした中で同年7月に豪雨災害が発生し、熊本県の約30の医療施設が浸水被害に遭った。特に人吉市では、地域の拠点病院が浸水被害を受けるとともに、発災前後の災害対応に多くの課題が顕在化した。医療施設の水害タイムラインを検討した事例がほとんどみられなかったこともふまえ、京大・清水建設・センターの三者で水害対策の具体化を進めるに至った。その特徴は、次の2つに集約される。

一つ目の特徴は、7つの段階を設定して対応業務を整理したことである。多くの病院建築で実績を有する清水建設が、同センターの建築・設備の水害リスクを評価し、医療現場の業務との両立も考慮した。

最新の洪水予測技術を活用したことが二つ目の特徴である。水害ハザードを的確に予測して水害対策業務の実施判断に結び付けるため、公開気象情報だけでなく、洪水氾濫を予測可能な京都大学が開発した技術のデータを活用する洪水予想の仕組みを構築した。リアルタイムの河川水位に加えて、4時間先までの高精度な浸水予測ができるという。

角哲也教授は報道発表のなかで「病院が自衛的に実施する水害対策について外部からサポートを図れないかと継続的に検討を行ってきた。成果に大いに期待している」とコメントした。