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京大 スパコンデータ消失 委託先のミスで77TB

2022.01.16

京大学術情報メディアセンターは12月16日、同センターの運営するスーパーコンピュータシステムにおいて、ファイルが消失する事故が発生したと発表した。消失したのは、大容量ストレージの一部データで、容量にして約77TB(テラバイト)にのぼる。業務委託先によるバックアッププログラムの更新手順に不手際があったことが原因。同センターは、再発防止に取り組むとした上で、1月末をめどにバックアップ処理を再開するとの方針を示している。

同センターの12月28日付けの報告によると、昨年12月14日から16日にかけて、一部データファイルが消失した。消失したファイルは12月3日以降に更新がなかった約77TBにあたる約3400万ファイルで、このうち、バックアップが存在せず復元不能なのは約28TBにあたる約2500万ファイル。この消失の影響を受けた利用者は68名で、うち10名はバックアップによる復元のめどが立っていない。京大は当該利用者に対し、再計算のための計算枠を無償で追加提供する方向で検討しているという。

業務委託先の日本ヒューレット・パッカードによると、ファイル消失の原因は、バックアップのプログラムの機能改善を目的とする作業のなかで、手順に考慮不足があったことだという。同社は、ファイルの消失は「100%弊社の責」であり、ユーザーや京大の意向に沿った補償を行なっていくとしている。

学術情報メディアセンターは、プログラムの問題を改善して再発防止対策を取った上で、1月末までにはバックアップを再開する予定としている。また、バックアップ手法の追加による機能強化を検討するという。一方で、「機器故障や災害等によるファイル消失の可能性も含めて完全な対策は困難」であるとし、利用者各自での別システムへのバックアップを呼びかけている。

京大スパコンシステムは学内外の約1600名が研究などで利用しており、今回データの消失があったストレージは、スパコンの計算結果を保持するために使用されている。