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小野薬品の寄付で基金設立 運用方法は京大が検討

2022.01.16

小野薬品工業の相良暁(さがらぎょう)社長と京大の湊長博総長は12月13日に記者会見を開き、京大内に「小野薬品・本庶記念研究基金」を設立したと発表した。小野薬品から230億円の寄付を受けたことによるもの。基金の具体的な支援制度については今後学内で検討するという。

基金の目的は、生命科学を中心とした自然科学の分野における、研究環境の向上と若手研究者の育成。湊総長は会見の中で、日本の研究力低下の一因が「博士研究員のキャリアパス」にあると述べ、博士研究員が研究を継続できるように、生活と研究の両方の面で支援する制度を目指すとした。基金の運用は京大が担い、小野薬品が関与することはない。京大は本紙の取材に対し、支援対象の選考方法や支援方法の具体的な内容について「開示すべき事項が発生した場合は適宜公表する」と答えた。

がん免疫薬「オプジーボ」の特許使用料を巡って本庶佑・特別教授と小野薬品の間で訴訟が行われ、11月12日に和解が成立した。和解の条件のひとつとして、小野薬品が京大に寄付することで合意していた。

今回の寄付と基金設立は、企業と大学の共同研究によって得られた利益を大学に還元した形となる。相良社長は「わが国の産学連携の新しい形を示せた」と述べ、湊総長は「一つの産学連携の成功例として認知され、広まってくればありがたい」という見解を示した。

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【会見に臨む湊総長と相良社長】