京大周辺の動物たち(2021.12.16)

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本企画では、京大近辺に人の手を介して住んでいる動物たちを紹介する。当初の取材予定が叶わず動物の種類が偏ってしまった部分はあるが、動物と世話する人間たちの関係には、それぞれに固有の動物の生き方と動物にかける人間の思いが現れていた。かわいいだけでない、人と共存して生きる動物の姿を見つめたい。(編集部)

目次


    ①馬術部の馬と猫
    ②クジャク
    ③地塩寮の猫
    ④吉田寮の猫
    ⑤猫サークル
    ⑥医学部の実験動物

①馬術部の馬と猫


北部構内には、15頭の馬が暮らしている。馬術部の管理する馬場・厩舎は理学部校舎のすぐ西にあり、最多で17頭の馬を飼育可能だ。現在はサラブレット14頭とホルシュタイナーを1頭飼育している。サラブレットは競走用に改良された種で、競馬に用いられる。馬体は比較的細く、競争心が強いことが特徴だ。これに対して、ホルシュタイナーは乗馬用に改良された種で、肢が太く、温厚な性格だという。

以前は引退競走馬を直接譲り受けることもあったが、現在は乗馬クラブから購入することが多い。引退競走馬を再訓練する団体からオークションで買うこともあるという。最近では、2019年4月に京澄香を迎えた。

馬術部の練習は週6回。馬場を訪ねた月曜日は練習のない日だが、厩舎の掃除や馬の放牧をする部員たちの姿がみられた。部員ごとに1頭を受け持って、その馬に騎乗し、日々の世話も担当する。総合馬術・馬場馬術・障害馬術の3種目のうち、部員が希望する種目にあわせ、適性のある馬の担当につくのだという。

部員は、朝6時から8時に練習をした後、ブラシをかけたり水で洗ったりと馬体の手入れをする。エサは朝・昼・夕・夜の4回与える。馬たちは、練習以外の時間は基本的に馬房ですごすが、ストレス発散のため馬場に放牧することもある。馬の健康維持のためには、部員たちの日常的な世話に加え、専門家の助けも必要だ。馬が走るために欠かせない蹄鉄は、月に1回装蹄師が行っているほか、定期的に獣医が馬の健康状態をチェックしているという。

獣医による検診・装蹄・エサ・馬房の敷料・大会へのエントリー費用・設備維持費用など、支出は大きい。これらの費用は、OB・OGからの寄付や部費にくわえ、部員のアルバイトでまかなっている。京都競馬場でのアルバイトのほか、葵祭(上賀茂神社・下鴨神社)・時代祭(平安神宮)での馬曳きや、時代劇の撮影現場での馬の世話といった珍しいアルバイトをすることもある。馬の平均寿命は25歳ほど。加齢のため馬術競技に出られなくなった馬は、養老牧場に引き取ってもらい、そこで余生を過ごすという。

人に懐きやすい馬や、見知らぬ人が苦手な馬、競技中に怠けがちな馬や協力的な馬など、個性は様々だ。また、日によって馬のコンディションも異なる。「人間は自分で体調の悪さを説明できるが、馬はできない。観察して気づき、早めに対処しなければいけない。いちばん難しくてやりがいがあるところ」と主将の中島さんは話す。大きい馬は600キロ近くにもなる。穏やかな性格の動物だが、怯えて暴れる可能性もあり、蹴られたり足を踏まれたりすれば大きな怪我に繋がる。また、障害馬術では1メートル以上の高さを跳ぶこともある。危険が伴うスポーツだという意識をもって、安全に努めることが必要だと語った。

馬術部の猫・池田


馬場周辺に暮らすのは馬だけではない。馬場の一角にある部室の近くに暮らす猫「池田」は、馬術部員にとってペットのような存在だ。池田は推定5歳ほどのキジトラのオス。馬場近くで暮らすようになった経緯は不明だが、中島さんは、過去に部員がもらい受けたのではないかと話す。馬を怖がり、厩舎の近くにはあまり近寄らない一方で、人に対しては警戒心が薄く、中島さんに抱き上げられてもおとなしくしていた。部員がエサをやっているが、その他は自由に暮らしているという。(田)

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②クジャク


京大北部キャンパスの北方にある田中神社境内の一角で、クジャクたちは暮らしている。彼らはもともと吉田寮で飼育されていたが、同好会設立者の卒業に伴い、以前よりクジャクを飼育していた田中神社に移ることになった。以降、田中神社による場所・飼料代の提供と、同好会の活動の二人三脚でクジャクたちを飼育している。

彼らは、オスのサカタニ、田中くん(仮)とメスのスカイレインボーハリケーンゴッドフェニックス(通称スカイレ)。世話をしているのは京都大学クジャク同好会のメンバーで、「クジャクを育てて京大のアイドルに」を目標に活動をしている。会員の中村眞子さんに話を聞いた。

基本的な世話は、食事をあげることと水を取り替えることだ。約10人で順番に担当している。田中神社が代金を負担している市販の飼料のほか、小松菜、白菜、もやしなどをあげても良い。

「見た目や性格など、3羽にはそれぞれ個性がある」と、中村さんは語る。それぞれの個性に沿って接するよう気を付けているという。例えば脚が弱い田中くん(仮)に対しては、距離を詰めすぎると走って逃げてしまい脚に負担がかかるので、エサやりの時には不用意に近づきすぎないよう気を付けている。

もともと動物が好きでこの同好会に入った中村さん。クジャクに対しての愛は深く、ふとした瞬間にクジャクたちのことが頭に浮かんで、会いたくなることがよくあるという。今後の目標を聞くと、「活動中にクジャクについて尋ねられることがある。それがとても嬉しい。もっと多くの人に知ってもらいたい」と述べた。さらに「同好会が掲げているように、クジャクたちを京大のアイドルにすることを本気で目指しています」と笑顔で語った。(滝)

③地塩寮の猫


キリスト教系の学生自治寮「地塩寮」が東一条通にある。今回取材したのは、そこで1匹で飼われている寮猫ルツだ。名前の由来は旧約聖書の『ルツ記』に出てくる女性だそうだ。

木床の共用室に入ると、取材相手の寮生と目当ての猫が待っていた。寒くなり始めたからだろう、キッチンを含めて小学校の教室くらいの大きさの部屋の隅で、ルツは空いたスリッパの上に上手に座っていた。共用室は寮生の出入りが多く、そのたびに声をかけられている。ルツは人見知りで、だしパックや鰹節が好きで、メガネ男子に近づきがちで、と寮生たちは口々にルツの特徴やそれにまつわるエピソードを語ってくれる。部屋の奥には先代の寮猫「しゃみ」の遺影が供え物と一緒に置かれた棚があり、ルツも大事にされているんだろうなと実感する。

キジトラ模様の3歳のメス猫・ルツ。今でこそ寮生に愛される看板猫だが、2018年の秋にとある寮生に持ち込まれて入寮した直後は、そもそも飼うかどうかが議論になったという。地塩寮では全会一致を制度としているためたくさんの議論を要したが、エサ代や医療費、世話の分担などは一部の人で責任をもって受け持つ形で受け入れられ、現在は8人の飼い主が世話をしている。とはいえ、カンパ用の丸缶にはたくさんのお金が入れられており、寮生みんなが世話に協力的だ。

ツイッターの地塩寮のアカウントでは「#今日のルツ」で日々のルツが投稿されている。寮生以外からも愛される、地塩寮のアイドル猫である。(怜)

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④吉田寮の猫


吉田寮には猫や爬虫類など、様々な動物が寮生たちに可愛がられながら悠々自適に生活を送っている。今回取材したのは、猫のおんだ。おんだの飼い主のSさんは、前の飼い主が退寮するのに伴って今年の春から世話を始めた。おんだは吉田寮の受付にいることもあれば食堂に行っていることもあり、寮内で自由に生活しているようだ。餌代は基本的にSさんが出しているが、前の飼い主が出してくれることもあるそうで、元寮生からも可愛がられていることがうかがえる。

さて、現在10歳くらいのおんだは猫としては高齢で固めのエサは食べることができないため、Sさんはソフトなエサを選んだり固いものは水でふやかしたりと工夫をしている。おんだの世話係を引き継いだ際には、環境が変わってストレスにならないようSさん自身が前の飼い主の部屋に移ったという。人見知りが激しく初めはSさんにもよそよそしかったおんだだが、Sさんの努力と愛情のおかげで今や足音を聞いて駆け寄ってくるほどに懐いている。

おんだのほかにも、オスのボンを始め吉田寮には猫がたくさんいて寮生の癒しなのだそう。「それぞれの棟ごとに覇権を握る猫がいるのもおもしろい」と寮生は語った。(滝)

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⑤猫サークル


現在京大構内には約25匹の野良猫が生息しているが、それらの猫は一つの大学猫サークルが管理している。今回取材したCat-Ch(キャッチ)である。

Cat-Chは北部構内と本部構内にいる野良猫を地域の住民と協力しながら世話する団体だ。毎日5限終わりの18時半から、1時間程度かけて、猫がエサをもらいに集まる「猫だまり」数か所を見回りながらエサをあげ片付けをするのが主な活動である。活動は部員全員で分担し、エサや治療にかかる経費は部員からの回収と地域の人の協力で賄っているそうだ。

活動の内容は愛玩用の飼育にとどまらない。大学で生活する猫の保護活動が大きな目的となっている。まず構内の猫には避妊去勢手術を施す。そのため、縄張りの移動などにより構外から大人の猫がやってくる場合を除いて、基本的に数が増えることはない。野良猫は鳴き声による騒音を理由にしばしば駆除や処分の対象となるが、手術を受けた猫には盛りが来ないため春夏にかけての繁殖期にも鳴くことはなく、また事実上子猫がいないこともあって、駆除や処分を免れている。

毎日の活動以外にも、対外的な活動としては年1回の勉強会があげられる。大学猫連盟という全国の大学猫サークルが所属する組織の集まりで、活動報告や問題点の解決の話し合いなどが年々場所を変えて行われるそうだ。

活動が始まってから9年、徐々に規模を拡大し、幸い今は活動において人手に困っていないそうだ。これからも地道な活動を堅実に続けていきたいと部員は語る。(怜)

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⑥医学部の実験動物


京大がホームページ上で公開している資料によれば、現在医学研究科で飼育されている実験動物は、マウス・ラット約5万匹、ウサギ80羽、イヌ10匹、ブタ4頭、サル類85匹など。実験動物としてのサル類は文学研究科や人間・環境学研究科でも飼育されている。全研究科を合わせた飼育数は、ウシ101頭、サル類1330匹、類人猿71頭、鳥類452羽などとなっている。

また、医学部構内には「動物実験供養之碑」と刻まれた石碑が立っている。側面の文字によれば、この碑は1972年に当時の医学部メンバーによって建てられたものだそう。(桃)

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【図】キャンパスマップ
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