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源氏物語の楽しみ方紹介 「環on」オープン記念講演

2008.05.16

9日、人間・環境学研究科棟地階大講義室で、4月7日に開室された人環・総人図書館の分室「環on」のオープン記念講演が行われ、京都大学の卒業生である山本淳子・京都学園大学人間文化学部教授が招かれた。「人間・環境学研究科の『源氏物語の時代』」と題して、「千年紀」で話題の源氏物語をテーマに講演を行った。

山本氏は文学部を卒業後、高校の国語教諭を経て大学院人間・環境学研究科に入学、平安文学を歴史や宗教とも絡めた独特の観点で研究し、博士号を取得したという経緯を持つ。

たとえば「紫式部が源氏物語を書くのに要した経済的負担は?」とか、「《犬君が雀の子を逃がしつる》の犬君ってだれ?名前の意味は?などといった疑問や、時代背景を含めて、とにかく作品の「すべてを知りたい」という欲求を満たしてくれたのが人間・環境学研究科だった、と母校への感謝を述べ、大学院時代に自身が会得した物事への関心の持ち方、「受身ではない読書体験」の方法などを紹介した。

教科書にも載っている源氏物語だが、高校・大学の教壇に立って実感したのは、まだまだ知られていない魅力が圧倒的に多い、ということだという。アニバーサリーはいい機会なのでぜひ一度触れてほしい、その際には「自分も当時の貴族に出仕する立場だったら?」という視点で読んでみてほしい、と源氏物語の楽しみ方を提案した。

同日「環on」では京大が所蔵する源氏物語に関する資史料が展示され、参加者はちょっと変わった図書室に驚いていた。人環・総人図書館では今後も様々な形で「環on」を有効活用していきたいとしている。

《本紙に写真掲載》