文化

1日でも濃い体験 京都府 仕事と育児の両立体験プログラム

2020.10.01

京都府では、3年前の2017年から府内の大学生・大学院生を対象として「仕事と育児の両立体験プログラム」を開催している。昨年は京都府の大学・大学院から150名近くの参加者が集まった。この事業は、共働き家庭との交流や研修を通して仕事と育児の両立を体感し、参加者の将来設計に役立てることを目的としたインターンシッププログラムである。将来結婚して子供を持つ世代である大学生・大学院生に具体的な未来像を描いてもらうことで、少子化や人口減少に対抗する狙いがある。今年はコロナの影響でオンラインでの実施となったが、例年よりも開催回数を増やしており、現在も参加者を募集中だ。今回、編集員も「仕事と育児の両立体験プログラム」に参加する機会を得たので紹介する。

プログラムには長期と短期の2種類があり、今回私はオンラインで開催される短期形式に申し込んだ。プログラムは12時半から16時半までで、自己紹介、仕事と育児の両立体験、10年後のなりたい姿ワーク、先輩の話、振り返りの流れで進んだ。

当日の学生の参加者は編集員を含めて5人で、終始なごやかな雰囲気だった。Zoomのブレイクアウトルーム機能で少人数に別れて簡単な自己紹介をした後、共働き家庭の育児の様子を動画で視聴する。視聴したのは共働き家庭の夕方から夜にかけての様子で、子供のお迎え、帰宅、夕食の準備、子供のお風呂の準備、寝かしつけなど、子育てでやることが非常に多いのが分かった。印象的だったのは、忙しい中でもそれぞれの家庭が工夫を凝らして効率的に家事をこなしていた点だ。やることがたくさんあっても時短料理などで時間を作り、子供と積極的にコミュニケーションを取っている様子が伺えた。

なりたい姿ワークでは、事前に配布されたワークシートに記入する形で10年後の自分の様子を想像した上で発表した。

その後は仕事をしながら子育てをしている2人のゲストからもお話を伺った。ゲストの方のお話をただ聞くのではなく、参加者がゲストの方に質問して答えてもらうヒアリング形式がとられた。参加者がれぞれの疑問や悩みに応じた質問をすると、ゲストの方が自身の体験に照らし合わせて回答してくれ、普通に生活する上では聞けないような結婚や子育てに関する話を聞くことができた。「子供が生まれてくるのは奇跡」「男性は育児を『手伝う』のではない」「自分に合う人を見つけることが大事」などの言葉に参加者は感銘を受けた様子だった。

短期プログラムでは、例年通りなら実際に共働き家庭を訪問して家事や育児を手伝う予定だったが、今年はコロナの影響で実施できなかったという。昨年体験プログラムに参加し、共働き家庭を訪問した花園大学4年の中村さんは、「最初はたくさん質問しなければと身構えていたが、子供たちと遊んだり雑談したりと楽しめた。夕食の準備を手伝って訪問を終了する予定が、夕食をご馳走になった後にみんなで座布団を投げて遊んで長居してしまった」と話した。

「仕事と育児の両立体験プログラム」で特徴的なのは、入社後にどうなりたいかに主眼を置いている点である。通常のインターンは会社の説明とグループワークがメインになることが多いが、このプログラムは入社後のワークライフバランスについて考える機会になっているという。参加者の年代も通常のインターンより幅広い。1年生が友達づくりに参加する場合や、就活を終えた4年生が将来の結婚生活を見据えて参加する場合もあるという。京都府「仕事と育児の両立体験プログラム」事務局の三谷さんは、「就活を始める前の2年生や、業種を迷っている3年生にもおすすめ。どの学年でもいいことがあるので、より多くの学生に参加してもらえれば」と話している。

◎両立体験プログラム 今後の開催日 10月31日(土)
11月8日(日)、21日(土)、29日(日)
12月13日(日)
※11月21日は公務員がゲストの日

◎京都府 「仕事と育児の両立体験プログラム」 URL https://www.pref.kyoto.jp/shoshi/work-life_intern.html

◎申し込みURL https://form.kintoneapp.com/public/form/show/7ea9378d1380d0559133c783811a92f4bc3b2895cd38263f758f6db0fa310f09