文化

京都の茶文化を発信 和束町で茶摘み体験

2018.05.01

京都府の南部に位置し、一面に広がる茶畑が由来となって「茶源郷」とも呼ばれる宇治茶の一大生産地である和束町。京都産のお茶の約半分を生産しているというこの町では、5月から6月にかけて新茶の茶摘み体験ができる。今回は和束町の歴史や文化の発展と継承を目的としている会社「ゆうあんビレッジ」が主催する体験に参加した。この企画はお茶を観光資源として利用して、和束町を盛り上げるために始まったものだという。今回参加した体験では、茶摘み体験と新茶のテイスティングができた。

茶摘み体験ができる茶畑は、地元のお茶農家の方の協力を得て借りているとのこと。茶摘み体験の前には畑でどのような茶葉を収穫すればよいかなどのレクチャーがなされ、お茶の知識を全く持たない小さな子ども連れの家族や、観光目的の若い方々にも安心であった。収穫するのはお茶の樹の上方にあるやわらかい葉(新芽)。その際は「一芯三葉」といい、新芽の先端から3枚目の葉の付いた部分を摘み取る。参加者には小ぶりの籠が配布され、レクチャーが終わると茶摘み体験が始まった。柔らかい新芽を慎重に指でつまみながら鮮やかな緑の新茶を摘んでいく参加者たち。貸し出された籠はあっという間に溢れんばかりの茶葉で満たされ、満足そうな笑顔が見られた。

体験の途中でテイスティング用のお茶が用意された。新茶のテイスティングで提供されるお茶は、日によって異なるという。この日は、立春から88日目にあたる5月2日に収穫された新茶を水出しした「八十八夜茶」がテイスティングできた。苦みの中にほのかな甘さが感じられたお茶は参加者に大好評で、お代りをする人もいるほどだった。

体験で収穫した新茶は各自持ち帰ることができ、てんぷらにして食すこともできるし、お茶にしていただくこともできる。お茶にする一番簡単な方法は、手揉みで葉を少々傷つけた後、風通しの良いところで乾燥させること。2週間ほどで飲みごろの紅茶になるという。また手間はかかるが煎茶にすることも可能だという。参加者はそれぞれ持ち帰る新茶をどのようにして楽しむかを相談しあい、盛り上がっていた。

今回の茶摘み体験を主催した「ゆうあんビレッジ」代表の山下丈太さんは「和束町に立ち寄った人に少しでも長く滞在してもらいたくてこの企画を始めました。体験を通じて農家の人がどのようなことをしているのかを知ってもらい、和束町の自然を身近に感じてみてほしい」と語った。

和束町はお茶の産地として有名だが、茶畑が広がる自然豊かな風景から京都府景観資産に登録されていることもあり、ハイキングやサイクリングをするために訪れる人も多い。茶葉が青々と生い茂る季節は、茶摘み体験だけでなく広大な自然を体感するために足を運ぶのも良いかもしれない。(湊)