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軍事研究は行わない 軍事研究の「基本方針」発表

2018.04.16

京都大学は3月28日、「京都大学における軍事研究に関する基本方針」(以下、「基本方針」)を制定し公式サイト上で発表した。「基本方針」では、「社会の安寧と人類の幸福、平和への貢献」を脅かすことに繋がるとして、軍事研究をしない方針を明記した。

今回京大が発表した「基本方針」では、「世界に卓越した知の創造を行う」という基本理念や「社会からの信頼と負託に応える」という京大の研究者に対する要求を説明。その後、「本学における研究活動は、社会の安寧と人類の幸福、平和へ貢献することを目的とするものであり、それらを脅かすことに繋がる軍事研究」について、「これを行わない」と明記した。また、軍事研究に該当するかどうかの審査に関しては、総長が設置する委員会によって調査するとも記載した。
京大広報課は、「日本学術会議が発表した声明を受けて「基本方針」を制定した」と説明する。日本学術会議は17年3月に「軍事的安全保障研究に関する声明」を発表した。声明によれば、「軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究」について、大学や研究機関に適切性を審査する制度を作るよう求めている。

京大は日本学術会議の声明を受け、17年5月に軍事研究に関する学内指針を作るためにワーキンググループを設置。18年3月28日に開催された教育研究評議会において、ワーキンググループによって作成された原案が承認され、発表に至った。関係者によれば、「基本方針」について反対意見は出なかったという。

京大は、1967年5月の部局長会議にて「軍からの研究費の援助を受けることは、その成果が戦争に利用される危険があるので、好ましくない」という申し合わせを確認しており、16年4月の部局長会議で形骸化しないよう周知していた。