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機械研 10月以降の活動に不安 吉田寮退去通告を受けて

2018.03.16

今年9月末に設定された退去期限に揺れる吉田寮の一角を利用している団体がある。京都大学機械研究会だ。現在、2015年に完成した吉田寮新棟の一部屋を寮自治会と共同で利用しており、今年10月以降の活動が継続できるのか不透明な状況に陥っている。

機械研究会は、ロボットやその他機械の製作や研究を主な活動とするサークルで、現在25名の部員を抱える。吉田寮新棟の一角、24平米の工作室を寮自治会との話し合いのうえで利用し、機械の設計やプログラミングから、ドリルやカッターを使った製作まで、幅広く活動している。各種大会にも出場し、紙に引かれた線に沿って自動的に走る模型自動車「マイクロマウス」の全国大会では2015年に学生部門で優勝を遂げているほか、昨年は特別賞を獲得した。

1998年の創立当初は、西部構内の電気が通っていない環境で活動をしていた。その後、吉田寮自治会との話し合いを経て、吉田寮食堂の一角を活動スペースとして使うことになる。15年にかけて寮食堂の補修と新棟の建設が実施されることになった際には、寮自治会がそれまでの経緯を踏まえ、新棟の共有スペースである工作室を機械研も使えることにし、機械研は機材を常時保管するなどして利用している。

京都大学は昨年12月19日、「吉田寮生の安全確保のための基本方針」を発表した。この方針では、新棟も含めた全棟から今年9月までの退去を求めている。大学当局の方針によれば、工作室を使用することは「不法占有」とされている。機械研究会は10月以降活動スペースがなくなることを危惧しており、現在、新棟から退去せざるを得なくなった場合に備え、代替スペースの確保を試みているという。

機械研の活動は、機械製作において騒音が伴う。したがって、民間のアパートに活動場所として使えないか打診しても断られるという。学内にも、24時間出入り自由で使える工作室はなく、現在のような環境の確保は難しい。10月以降も活動を維持していくための対応に追われている。