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地震が起きても大丈夫? 耐震マップ完成、配付へ

2008.04.01

京都大学は3月31日、吉田キャンパスにおける耐震度マップが完成し、教職員・学生へ配付することを発表した。全学的な地震対策として、目に見える成果の第1号となる。

昨年10月に全学の地震対策検討会(座長=林春男・防災研究所教授)が組織され、まずは現状を把握するためマップを作成した。正式名称は「吉田キャンパスにおける地震対策(08年度版)」。A1サイズを折りたたんでA4サイズにしてある。広げると構内建築物の耐震強度が一望でき、日常の注意や復旧プロセス、断層位置まで記載されている。新入生ガイダンスなどで学生へ配付されるほか、公式サイトの学内ページ上へ掲載される予定。マップは08年度からの建物名称を使用し、耐震強度は08年度末(現在着手済の工事完了時)のものを記載している。

京都大学においては、07年度末で学内建物の75%が耐震基準を満たしており、10年度末までに93%へ引き上げる方針。建物には物置小屋などの瑣末なものも含んでいるので「(93%は)実質100%と考えてよい」(林教授)。

宇治キャンパスの耐震マップは既に作られ、桂キャンパスは基本的に全て耐震基準を満たしている。今回で概ね全体を把握できたことになるが、新旧の建物が混在する吉田キャンパスは、やはり対策が「いちばん難しい」(木谷雅人・総務人事広報担当理事)という。

マップではどの建物が耐震基準を満たしているか―あるいは補強済みかが瞭然だが、注意すべきは、基準を満たしているからといって無被害ではないという点だ。

建物が潰れてしまわない強度というだけであり、基準は無被害を保障するものではない。そのためマップでは、物品が転倒しても非難ルートが確保できるよう配置すること、書架を十分に固定することなどが呼びかけられている。

マップ完成は、より発展した対策を講じるための下地ができたことを示すものであり、林教授は「一里塚」と評する。