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動物園と連携 野生動物研究センター発足

2008.04.01

京都大学は3月18日、野生動物研究センターを4月1日に発足させると発表した。公立の京都市動物園・東山動植物園や民間研究機関と連携し、陸海空の野生動物全般を対象に研究する。特に絶滅危惧種の研究や、動物園・水族館などを通じた来園者への環境教育へ力を入れる。

初代センター長には民間・林原類人猿研究センター長の伊谷原一氏が就くほか、教員として動物行動学・ゲノム科学・認知科学などの研究者や映像プロデューサーなどが着任する。専門教員10名、兼任教員10名が所属し、大学院生も受け入れる。研究手法としては、地域動物園や水族館と連携しながら、京都大学の伝統であるフィールドワークとライフサイエンス分野を融合させ、新たな領域を開拓する。

霊長類研究所の一部所有施設や、「チンパンジー・サンクチュアリ・宇土」を移管して拠点とし、他機関とも連携して教育・研究活動を進める。センター発足に尽力した松沢哲郎・霊長類研究所長は「センターは(野生動物)全体をみて、そのなかで霊長類という分野は霊長類研究所が取り扱う」と、今後の部局間の住み分けについて話す。

教員のうち、特にチンパンジーの研究者である田中正之・新センター准教授は京都市動物園へ常駐し研究する。センターの事務部は、本部構内の工学部1号館と独立行政法人日本学生支援機構近畿支部京都事務所(左京区田中関田町)内に置かれる。

伊谷原一・新センター長は「自由に、独創性に研究できるような場作りを目指す」。上田典男・京都市動物園長も「新しい切り口で運営してゆきたい」と応じた。