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健康診断データベース化 医療や健康管理に有効活用を

2016.09.16

京都大学では来春から、同意した学生の健康診断の結果をデータベース化し、研究や健康管理への利用を可能にするプロジェクトを開始する。毎年集まるデータを有効利用することで、医療の質の向上や健康増進に役立てることが狙い。オムロンやメドピアなどの企業と共同でデータベース化作業をすすめていく。

京都大学の健康診断は毎年学生のおよそ9割が受診しているが、診断が終わると集まったデータは廃棄されている。今後は健康診断の結果を本人の同意の上で匿名化してデータベース化することで、端末などから自分のデータを遡って確認したり、医療研究に役立てられるようになる。個人情報の保護のため、名前とデータを別サーバーで保存し、遺伝子疾患など個人の特定につながるようなデータは扱わない。
将来的にはデータベースの利用範囲を他大学や企業まで拡大し、データを生涯にわたって利用することを目指す。大学ごとに異なる健康診断の項目の標準化に向けて、他大学との間で話し合いが進められている。また、希望者にはアプリ等に登録された他のデータも扱えるようにし、企業と連携して健康増進や医療サービスの向上をはかる。万歩計や運動習慣のデータ提供といった健康的な取り組みに対するポイント贈呈や健康的習慣による保険料割引などで健康維持へのモチベーションを高めると同時に、個人や各医療機関がそれぞれ所持している医療情報をまとめ、災害時や救急搬送時などに服用している薬といった必要な情報をすぐに集められるようにする。年度末には学内でベンチャー企業を発足し、運用に向けた準備を始めるという。

プロジェクト代表の石見拓・京都大学健康科学センター健康管理部門長は、「個人情報が重視される現代、せっかくの情報が利用されないままになっている。健康に関わるデータを残し、いざという時のために活用してほしい」と語った。