ニュース

弥生前期の水田発見 「貴重な事例」と評価

2014.11.01

京都大学文化財総合研究センターは、吉田南構内から弥生時代前期の水田遺構が見つかったと発表した。遺構は極めて良好な状態であり、日本で稲作が本格的に始められた直後の技術水準を知る上で大きな意義を持つとしている。

水田は高さ10センチ、幅20センチほどの堅固な畦で1~2畳ほどの小さな短冊状に区切られた「小区画水田」と呼ばれるもの。堰や土手を作らず、自然の地形を活かした作りとなっている。

遺構が見つかったのは国際人材総合教育棟の建設予定地で、吉田二本松町遺跡の一部。文化財保護法に従い、6月から発掘調査が行われていた。1994年には人間・環境学研究科校舎の建設に先立つ発掘調査で同様の遺構が見つかっており、今回はその延長部分に当たる。

遺構は当時の地形をとどめた良好な状態で発見された。白川の洪水によって堆積した土砂が、水田が造られた粘土層の上に1メートルほどの均質な地層を形成したためだという。水田の表面には凹凸が見受けられ、センターは田起こしの痕跡か、水を貯めるための工夫ではないかと推測している。調査を担当する伊藤淳史・文化財総合研究センター助教は今回の発見について「稲作が本格的に始められた弥生前期の技術や知識、地形への対応の仕方などを具体的に知ることのできる貴重な事例」と評価した。