文化

「家コーヒー」のすすめ ~贅沢な時間を楽しもう~

2014.11.01

私は毎日自宅でコーヒーを淹れ、飲んでいる。とはいえ、コーヒーについての詳しい知識は持っておらず、ただ適当に淹れているだけだ。せっかくコーヒーを飲むならもっとこだわってみたいと思った私は、コーヒー豆を販売し、出張のコーヒー教室も実施している上京区の「アップス 西陣千本店」に話を聞きに行った。(B・北)

まずは淹れてみることが大切

家で淹れる良さとは

店主の牧野和喜さんは、「自分でコーヒーを淹れて飲むというのは、贅沢な時間の使い方。そういう時というのは幸福感を味わえるし、心に余裕も出てくる」と話す。また、自分で淹れるコーヒーは、器具を買う初期費用を含めても、喫茶店やインスタントのものよりも安く飲める。例えば、「アップス」で売っている一番安いものは100㌘200〜250円で、一杯当たり30円ほどになる。

何から始める?

いざコーヒーを家で淹れてみようと思ったら、何をすればよいのだろうか。「最初は知識なんて必要ない。とりあえずコーヒーの粉を買ってきて、自分で淹れてみることが大切」。牧野さんから返ってきたのは、意外な答えだった。銘柄などの知識からコーヒーの勉強を始めて、あまりの情報の多さに挫折してしまう人も多いという。こだわったり勉強したりするのは、1~2週間自分で淹れて飲んでみた後でよいそうだ。

粉と器具を揃えよう

粉をコーヒー専門店で買う場合は、豆の挽き具合に注意が必要だ。挽き具合によって味は変わり、細かいと味が濃く、粗いと薄くなる。初心者には、一番オーソドックスな中挽きの粉がいいそうだ。また、1種類の豆で構成されたストレートコーヒーよりも、複数の種類が入ったブレンドコーヒーの方が、クセが無く飲みやすい。最初はブレンドコーヒーにしよう。より手軽さを求めるなら、スーパーやコンビニで粉を買ってもいい。その場合、「レギュラーコーヒー」と書かれたものを選ぼう。

コーヒーの抽出に必要な器具は、抽出方法によって変わる。ドリップは、コーヒーの粉にお湯をかけてコーヒーの成分を抽出する方法だ。一方、サイフォンでは、コーヒーの粉をお湯に浸すことで成分を抽出する。牧野さんのおすすめは、器具を揃えるのが比較的簡単なドリップ。必要なのは、フィルターや粉をセットするドリッパーと、抽出されたコーヒーの液体を受け止めるサーバーの2つだけだ。2000円もあれば両方の器具は購入できる。器具は専門店でも売っているが、インターネットで買うのもいいかもしれない。

実際に淹れてみた

牧野さんに抽出のポイントを教わり、早速コーヒーを淹れてみた。ドリップをする上で一番大切なのが、コーヒーの成分を過不足なく抽出すること。抽出が不十分だとコーヒーの持っている味を最大限に引き出せないし、反対にお湯を当てすぎると、渋みなどのもとになる余計な成分まで出てしまうからだ。

ドリップでコーヒーを抽出する前には、粉にお湯を当てて膨らませる、「むらし」という段階がある。抽出の前にお湯を当てることにより、脂肪分を多く含むコーヒーからガスが発生し、粉の一粒一粒の間にすき間ができる。こうして粉と粉との間をあけることで、抽出の際にコーヒーの粉がお湯に触れる面積が大きくなり、成分をより無駄なく抽出できるようになる。

むらしによって粉が膨らんだら、抽出に移る。ここでも、すべての粉にお湯を通すことを意識する。ポットを「の」の字を描くように内側から外側に動かしながら、粉をお湯で塗りつぶすように注いでいく。飲みたい量のコーヒーが出来上がったら完成だ。

さいごに

私と同じように、よくコーヒーを飲むけれど、正しい淹れ方はあまり詳しく知らないという人は多いのではなかろうか。まずはコーヒーの粉にお湯をかけて飲んでみるだけでいい。この機会に「家コーヒー」を始めて、自宅での贅沢な時間を楽しんでみてはどうだろう。