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交付金重点配分で改革を誘導 文科省「国立大学改革プラン」策定

2013.12.01

文部科学省は11月26日、第2期中期目標期間の後半から第3期にかけての国立大学の改革の方向性を示す「国立大学改革プラン」を発表した。運営費交付金の配分方法の見直しや学長の権限強化など、今後の国立大学法人のあり方に大きく影響を与えうる方策が挙げられている。

国立大学改革プランは各大学もしくは分野が目指す機能強化の方向性として「世界最高の教育研究の展開拠点」「全国的な教育研究拠点」「地域活性化の中核的拠点」の三つを挙げている。どの方向性で機能強化していくかは各々の大学・分野で決めるものとされる。

これら機能強化を実現するための方策として①社会の変化に対応できる教育研究組織づくり、②国際水準の教育研究の展開、積極的な留学生支援、③大学発ベンチャー支援、理工系人材の戦略的育成、④人事・給与システムの弾力化、⑤ガバナンス機能の強化、の五つを挙げている。各方策の具体的内容は図にまとめた。

加えて第3期中期目標期間における運営費交付金や大学評価のあり方について、2015年度までに抜本的に見直すことを打ち出している。見直しの方向性としては、改革の実現状況に応じて予算配分を決定することが考えられている。

今回のプランで示された機能強化に向けた方策の内容は、必ずしも初出のものではなく、すでに行われている事業や次年度概算要求に盛り込まれている事業が多い。それらを一体的に国立大学改革プランとして提示した形となる。

昨年6月5日に発表された「大学改革実行プラン」は、「激しく変化する社会における大学の機能の再構築」「大学の機能の再構築のための大学ガバナンスの充実・強化」という二本の柱から構想されているが、今回の国立大学改革プランはその後者の一貫として位置づけられている。

大学改革実行プランで触れられていた「アンブレラ方式」(一つの法人が複数の大学を運営)は国立大学改革プランでは言及されていない。文科省高等教育局国立大学法人支援課によると、現段階では機能強化につながるかわからないこと、国立大学の側から統合の要望がないことの二つが理由。ただし今後改めて検討される可能性はあるという。

策定時期について当初の大学改革実行プランでは「25年央まで」とされていたが、今年6月20日付「機能強化に向けての考え方」では「8月を目処」、そして日本経済再生本部による10月1日付「成長戦略の当面の実行方針」では「10月を目処」というように、次第に後へとずれ込みながら、結果11月26日の公表となった。この遅れの理由について文科省高等教育局国立大学法人支援課は、日本経済再生本部や産業競争力会議など文科省の外部でも国立大学改革に関する議論がされており、それを踏まえる必要があったため、及び予算の裏づけが必要な部分もあり財務省との調整に時間がかかったためとしている。

国立大学改革プランの公表にあわせて、同日、松本紘・国立大学協会会長が声明「『国立大学改革プラン』の公表を受けて」を発表し、国立大学改革への財政面などでの支援を訴えた。