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文科省 留学生受入れ戦略策定へ 特定地域・分野の受け入れを強化

2013.10.01

文部科学省の「戦略的な留学生交流の推進に関する検討会」は8月22日、中間報告として「世界の成長を取り込むための外国人留学生の受け入れ戦略(中間まとめ)」を発表した。検討会は今年3月に設置され、どの地域からの外国人留学生を重点的に受け入れるか、またその留学生をどう支援するかについて検討してきた。世界的な人材獲得競争が激化する中で、優秀な外国人留学生を戦略的に受け入れることで、企業の世界進出や経済発展を促すのがねらいだ。文部科学省は留学生政策の拡充によって2020年までに留学生を30万人受け入れることを目標にかかげており、今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の中でも言及されている。

中間まとめでは、日本が外国人留学生の受け入れ数において中国に遅れをとっていることが指摘された。2020年までに50万人の外国人留学生の受け入れを目標に設定する中国は、中国語の普及をはかるため公的な教育機関の「孔子学院」を世界各国におよそ690校設立、留学生の受け入れに力をいれてきた。実際に、中国の外国人留学生の受け入れ数は32万8300人で日本の受け入れ数である13万7756人と比較しても大きくリードしている。

こうした背景をふまえ、受け入れ戦略ではどの地域からどの分野の留学生を重点的に受け入れるかを決定。受け入れ成果が期待出来る分野には、世界的に高い評価を得ているとして「工学」と「医療」、企業進出をはじめ政治面・経済面に大きな影響を与えるとして「法学」、応用範囲が広く留学生の母国のインフラ整備にも貢献するとして「農学」の4つを挙げた。また、重点的に受け入れる地域にはASEAN(東南アジア諸国連合)、中央アジア、インド等南西アジア、ロシア及びCIS(独立国家共同体)諸国、アフリカ、中東、南米、中東欧、米国を指定した。

今回の報告では、これら重点地域からの受け入れを実現するための具体的方策についても言及。現地の学校とネットワークを構築し、日本留学の魅力を発信する「留学コーディネーター」の設置や欧米に集中する世界トップレベルの留学生を日本に再留学させる「ジャパンイニシアティブ(仮称)」、重点地域に焦点を当てた国費留学生制度の拡充などを挙げた。英語など外国語のみで学位が取得出来るコースの充実や外国人教員の積極採用により大学の国際化を徹底することについても触れている。

文科省は今後も各省庁や関係機関へのヒアリングを続け、年度末までに最終報告をまとめる予定。