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「偏見・差別・人権」不開講 開講当初の主旨が引き継がれず

2012.10.17

京都大学の全学共通教育の中で人権科目として開講されている「偏見・差別・人権」を今年度後期は不開講とすることが、9月18日、京都大学教務情報システム(KULASIS)上で告知された。また、同科目は前期も不開講だったことが明らかになった。

「偏見・差別・人権」は1994年に始まり、前後期リピート科目として例年開講されてきた。10学部(総合人間学部、理学部、文学部、医学部、教育学部、薬学部、法学部、工学部、経済学部、農学部)が毎年交代で実施責任部局となり、全学的な協力の下、企画・運営に当たってきた。本講義は、専任教員による基幹講義に加え、さまざま部局から選ばれた教員が独自のテーマに基づいて行う各論講義から成る。専門家に任せるだけでなく、教員がそれぞれの専門分野を偏見・差別・人権と結びつけて考察し、そこで再発見した具体的現実を学生に教授することに本講義の主旨があった。

ところが、開講から20年近く経過し、当初の主旨が引き継がれているとは言えない点があり、また一部の学生からは「楽勝科目」と見なされていることが問題視されてきた。こうした問題を抱えた状態では、開講を見送った方が良いとのことから、今年度の前期は不開講とした。そして9月に入り、依然問題は抱えたままで、また、教員と教室の確保が困難なことから、後期も不開講となった。

なお、来年度から「偏見・差別・人権」の実施体制が改められる。現在の輪番制を廃止し、企画から実施までの責任を高等教育研究開発推進機構に一元化する。