文化

〈特集〉京都大学大学院「思修館」~ グローバルリーダーへの道 ~

2012.10.01

博士課程教育リーディングプログラム、オールラウンド型のひとつとして採用された「京都大学大学院思修館」のプログラムが今年10月から始まる。それに合わせ、今号では思修館を総力特集する。(朴)



博士課程教育リーディングプログラム



思修館は「博士課程教育リーディングプログラム」の一環として展開される。そこでまず、リーディングプログラムについて説明したい。

リーディングプログラムは、グローバルリーダーを養成する事業だ。文部科学省が2011年度から実施しており、2017年まで7年間続く。この事業に対し、2011年度は39億円、2012年度は119億円の予算を計上している。

従来の大学院は研究者養成を目的としており、また専門分野が細分化している。他方、リーディングプログラムでは、専門分野の枠を超えた修士・博士課程一貫の学位プログラムを展開し、俯瞰力と独創力を備えたグローバルリーダーを養成することを目的としている。つまり、国を挙げたエリート教育を行うというわけだ。

リーディングプログラムには大きくわけて3つの類型がある。文理融合のトップリーダーを養成する「オールラウンド型」、人類の課題を解決するリーダーを養成する「複合領域型」、新たな分野を拓くリーダーを養成する「オンリーワン型」の3つだ。さらに「複合領域型」は「環境」、「生命健康」、「物質」、「情報」、「多分化共生社会」、「安全安心」の6つのテーマ領域と、これらを含む幅広い「横断的テーマ」に分かれている。

京都大学から採択されたプログラムは現在4件。2011年度は、オールラウンド型「京都大学大学院思修館」と、複合領域型(安全安心)「グローバル生存学大学院連携プログラム」の2件が採択され、2012年度は、複合領域型(生命健康)「充実した健康長寿社会を築く総合医療開発リーダー育成プログラム」と、複合領域型(情報)「デザイン学大学院連携プログラム」の2件が採択された。

今回のリーディングプログラム事業自体は7年で終了するが、これが今後の大学院改革を方向付けるかもしれない。



学位プログラム



リーディングプログラムは「学位プログラム」という概念に基づいて構築されている。通常の大学院には存在しない考え方なので、ここで説明しておきたい。

現在の学部・研究科という体制の中では、学生はそこに「所属」するという意識が強い。特定の組織に所属し、教育を受ける。その結果、学位を授与されることになる。

他方、学位プログラムの中では、まずはじめに学位があり、学位を中心にプログラムが展開される。学位をとるためにカリキュラムを受けるという意識が強く、組織に「所属」するという意識は薄い。ただし学生や教員の受け皿となる組織は制度上必要なので、そのための組織は一応存在する。それは既存の研究科だったり、プログラムにあわせて新設された大学院だったりする。

既存の大学院の元で学位プログラムを展開する場合は大きな問題はない。せいぜい、既存大学院のカリキュラムと折り合いをつけなければならない程度だ。しかし、学位プログラム専用に大学院を新設しようとした場合、プログラムの独自性が強すぎると、そのカリキュラムが大学院設置基準の枠に収まらない可能性がある。構想だけが先走りして、制度が追いつかない状態だ。実際、こうした事態のために当初の計画に変更を余儀なくされたリーディングプログラムもあるという。

ちなみに、学位プログラムという考えの元で学部・研究科を再編しようとする動きがあることも付け加えておく。



Qualifying Examination



5年一貫のリーディングプログラムを支える概念として、「学位プログラム」のほかにもうひとつ、「Qualifying Examination」(以下QE)というものを紹介しておきたい。

大学院は現在、その多くが修士課程と博士課程に区分されている。中には5年一貫制をとる大学院も存在するが、どちらにしても、前期課程(5年一貫制の場合、はじめの2年間)を終え、修士号授与のためには修士論文を書かなければならない。しかし、修士論文作成にかかる負担は大きく、また、研究のために早期から専門分野にしか関わらないことが問題視されている。そこで、リーディングプログラムでは、論文作成の負担軽減とともに、初期段階では幅広い学習を促進することを目的として、修士論文に代わってQEを課すものがある。

QEは元々、アメリカの博士課程教育において実施されているもの。アメリカでは、同じQEでも各大学で試験内容は異なるようだ。ただ一貫していることは、論文を直接書くことなく、論文を書く能力が備わっているかどうか審査するということだ。

プログラムレベルでなく、大学院レベルでもQEを導入できるように、2012年3月に大学院設置基準が改正された。この場合は「博士論文基礎力審査」呼ばれ、博士論文作成に必要な基礎知識、研究計画能力、倫理観、語学力を含むコミュニケーション能力などを習得しているかどうか、体系的なコースワークなどにより包括的に審査する。導入可能なのは5年一貫制博士課程のみ。修士課程のみで博士課程へ進学しない場合に導入すると、その後論文を書く機会がなくなってしまう。

この設置基準改正に関して、国立大学協会からいくつかの指摘があった。例えば、修士課程修了後、一度社会人となって、しばらく後、大学院に戻って博士課程へ進学する、といった場合の取り扱い関する考慮がされていないということがある。ただ導入するだけでなく、実質を伴った制度となるにはまだ時間がかかりそうだ。



京都大学大学院思修館



ここからやっと思修館の説明に入る。

まずはじめに、思修館に関する誤解が多いので、正確な認識をもって欲しい。思修館は、その名称の中に「館」と入っており、また学寮型大学院と言われることから、「思修館」は学寮の名前だと誤解されやすい。もうひとつ、「京都大学大学院思修館」という名称のために、「思修館」は新設大学院(新設独立研究科)の名前だと誤解されやすい。「京都大学大学院思修館」は、正しくはプログラムの名称である。学寮のそれでも、新設大学院のそれでもない。はじめにそういう認識をもってもらったところで、次に進みたいと思う。

「京都大学大学院思修館」は博士課程教育リーディングプログラムのオールラウンド型のひとつとして、2011年度に採用された。構想は2010年に練られ始め、今年10月からプログラム開始となる。

思修館は構想段階から「学寮型大学院」と呼ばれ、思修館履修生のみの学寮がつくられるという点で他のリーディングプログラムとは異なる特徴が目立つ。(他の大学では、既存の学生寮への優先入居権を与えるものもある。)この学寮については後に詳しく述べる。

そのほかに特徴的な点として、既存研究科から履修生を選抜するという方式ではなく、新しい大学院(総合生存学館)を設置するという点がある。総合生存学館に入学してきた学生の中から、形式上、思修館プログラムの履修生を選抜することになるという。(実際には総合生存学館の入学者がそのまま履修生となる。)ただし、今年度のみ、既存研究科から履修生を募集している。総合生存学館が新設されれば、来年度以降は学外からの応募も可能となる。総合生存学館については、京都大学が現在、文部科学省に設置申請中で、10月末に認可・不認可の結果が出る。認可が下りれば、来年1月から2月頃に2013年度の募集を行う予定とのこと。

なお、一般報道では旧左京区役所の跡地を京大が購入し、そこに総合生存学館校舎を建設するとされているが、それは正確な認識ではないので、ここで補足しておく。

新大学院の設置を申請するためには、申請時に新大学院が使用する予定の建物も合わせて申請しなければならない。ところが、旧左京区役所は未解体。その場所には建物はまだ用意されていない。そもそも、まだ京都市の所有物。当然、総合生存学館の建物として申請できるはずがない。

では京大が跡地を購入したら総合生存学館の建物が建つのか、というとそうでもないらしい。思修館設置準備室によると、京大はあの場所に総合研究棟のような施設を建設する予定という。その施設を総合生存学館が使用することは検討されているが、総合生存学館のために建設するのではないとのこと。

ここまで説明してきたが、思修館の理念的な話は、グローバルリーダーの養成ということでリーディングプログラム自体と重なるので割愛した。以下では思修館について、学寮、選抜試験、カリキュラムの点で詳しく説明する。



合宿型研修施設(学寮)



思修館は構想当初、名前が決まる前の段階では「学寮型大学院」と呼ばれていた。そのことから、「合宿型研修施設(学寮)」が当プログラムの中心的役割であること言える。これ抜きに思修館を語ることはできない。そういうわけで、ここでは学寮について、図面などを用いながら詳細に説明する。

学寮は医学部構内の西端、女性研究者支援センターの南側に建設される。その場所には以前、職員宿舎があった。建設工事は10月5日から始まり、3月まで続く。4月から思修館プログラム履修生及び寮長の教員が住み始める。今年10月からプログラムは開始されるが、来年4月までは自宅や下宿から通学することになる。

さっそく建物の構造を見ていこう。1階と2階の平面図を左に用意した。ただし2階と3階は構造がほとんど同じなので、3階は省略した。学寮は木造3階建てで、居室は1K(8帖)が22室あり、2DK(6帖2部屋)が4室ある。ちなみにすべて一人部屋(2DKは2部屋あるので2人入居する)。そのほか、寮長室、談話室、座(茶室)、自炊室、ランドリーがある。加えて、(多分)豪華な中庭がある。しかも3階まで吹抜だ。

1階を見てみよう。玄関を入って正面に中庭がある。また左側に寮長室があり、ここに寮長として教員が住み込む。寮長室は12帖で、その奥に8帖の部屋がある。今のところ、学寮に住み込む教員は寮長のみの予定だ。そして玄関の右側に談話室兼ラウンジがある。談話室は28帖の広さで、8個のテーブルと32個のイスが設置される。目的に応じて配置換えが出来るようにするという。談話室の先には自炊室がある。自炊は基本的にここで行われる。1階の奥には座(茶室)があり、ここでは簡単な談議などができるとのこと。水屋があり、本格的に茶を楽しむこともできる。なぜか炉もある。そのほか1階には8帖の居室(洋室)が4部屋ある。居室は後に詳しく見てみることにする。

続いて2階に移る。2階はすべて居室となっている。洋室8帖の1Kが9部屋と、洋室6帖2室の2DKが2部屋ある。3階も2階と同じ構造になっている。

いよいよ、居室を詳しく見てみることにしよう。平面図から居室を切り出して拡大したものを左下に貼った。まず1Kの居室を見ることにする。キッチン、バス、トイレは各居室に整備されている。キッチンには冷蔵庫を置くスペースがあり、IHコンロがある。簡単な朝食を作れるようにということらしい。バスとトイレは一体のユニットバス。部屋のほうは洋室8帖となっている。バルコニーも全室についている。家具については、用意されるのか、履修生が持ち込むのかは現在検討中とのこと。

続いて2DKの居室を見てみよう。2DKの部屋は2階と3階の南側に、それぞれ2室、計4室ある。キッチンには、1Kと同じくIHコンロが一つ整備されているが、図面を見る限り、1Kとは異なりイスが二つ設置されるようだ。バスとトイレも分かれている。部屋は2部屋あり、いずれも洋室6帖となっている。

この学寮の説明は以上となる。もしかしたら、ここまで説明した中で気づいた人がいるかもしれない。思修館の定員が毎年20人、5年制なので履修生は合計100人になる。それに対し、学寮の定員は30人。これでは部屋が足りないのではないか。一体どうなるのだろうか。

実は、「合宿型研修施設(Ⅱ期)」というものが来年6月から建てられようとしている。9月25日に設計業務の入札が告示された。場所は女性研究者支援センターが現在建っているところ。女性研究者支援センターの現在の建物は取り壊されることになる。Ⅱ期が完成した後は、その中に女性研究者支援センターが入ることになる。工事中の一時的な移転先は現在検討中という。合宿型研修施設(Ⅱ期)は鉄筋コンクリート造4階建てで、30室つくられる予定となっている。

これで履修生60人程度の生活の場所が保障されるわけだが、100人にはまだ足りない。4年次には海外武者修行があるため学寮は必要ないので、残り20人の居室が足りないわけだ。この分をどうするかということはまだ検討中とのこと。合宿型研修施設(Ⅲ期)が建てられるかもしれないし、旧左京区役所跡に建てられる新施設に居室が用意されるかもしれない。

以上、合宿型研修施設(学寮)の紹介をしてきたが、今のところ明らかになっているのはⅠ期の構造だけ。学寮の全容が明らかになるのはまだ先となりそうだ。



選抜試験



思修館ではグローバルリーダーを養成するわけだが、そのグローバルリーダー候補生はどのように選ばれるのだろうか。ここでは今年度の選抜試験を詳しく見てみることにする。来年度の募集はまだ始まっておらず、また今年度と同じとは限らないので、今年度の話に限ることにする。

今年度はプログラム開始が10月で、また総合生存学館が設置されていないため、既存大学院(教育学研究科、理学研究科、情報学研究科及び専門職大学院を除く。)の修士1回生(または一貫制博士課程の1回生)から履修生が募集されている。今年合格した履修生は修了まで元の研究科に所属したまま思修館のカリキュラムを受けることになるので、研究科の判断で学生に応募資格を与えなかったところもある。

1面で報じたように、今年は1次募集(※1)と2次募集が行われている。1次募集と2次募集の時期を整理した図を用意したので参照してほしい。以下では、まず1次募集について説明した後、2次募集での変更点に焦点を当てていく。

まず、1次募集の応募資格を確認する。応募できる研究科は前述の通り。加えてTOEFL-iBTで80点以上のスコアを持ち、所属研究科長及び指導教員からの推薦を受けることが必要。以上を満たした学生が思修館に応募できた。

志願者は応募時に、願書、宛名票、応募書類受領書、学部の成績証明書、所属研究科長と指導教官の推薦書、TOEFL-iBTの受験者成績票(原本)、及び小論文を提出しなければならない。小論文は3000字以内で、その内容は、①志望理由、②将来の目標(どのようなリーダーになって、どのような貢献がしたいのかなど)、③履修後のキャリア形成(どのような職業に就きどのように活躍したいのか)、となっている。これらを元に、第一次審査(書類選考)が行われた。そして第一次審査を通過した者が第二次審査(口頭試問)に進む。第二次審査の内容は残念ながらわからない。

続いて2次募集での変更点を確認していく。2次募集の応募資格については、応募できる研究科と、研究科長と指導教員の推薦が必要という条件は1次募集と同じ。1次募集ではTOEFL-iBTのスコアが80点以上である必要があったが、2次募集ではその条件がなくなった。ただし、スコアは審査対象になるので、成績票は提出しなければならない。また、2次募集ではTOEFL-iBTだけでなく、TOEFL-PBTとTOEICも審査対象に含まれるので、これらの成績票でも応募できる(その他の試験では応募不可)。

提出書類にも変更点がある。2次募集では、1次募集と同じ書類に加えて、学部の研究成果(卒業論文や課題研究)を、1500字以内に要旨をまとめて提出しなければならない。提出書類の変更点はこの1点のみ。2次募集の応募受付は10月10日まで。

なお来年度(2013年度)の選抜試験は、10月末に文部科学省から新大学院の設置認可が下りれば、1月から2月ごろに行われる予定となっている。

注1:1次募集という呼び方は正式なものではないが、本紙では2次募集と区別するため、この呼び方を用いる。1次募集では募集期間が延長され、その結果第一次審査の合格者は4人だった。この4人の受験番号は1001から1004までの連番だった。ただし志願者が全員合格だったのかどうかはわからない(未公表)。その後、この4人で第二次審査が行われ、合格したのは1002番の1人だけだった。どうやら審査は厳しいようだ。なお、合格者の受験番号は思修館のHP(http://www.sals.kyoto-u.ac.jp/)で確認できる。



カリキュラム



思修館のカリキュラムの説明に入りたい。

思修館は本来、総合生存学館に学生が所属し、そこでカリキュラムを受ける。しかし今年度は、大学院がまだ新設されていない。そのため、履修生は既存の研究科に所属したまま、所属研究科のカリキュラムとあわせて、思修館のカリキュラムも受けることになる。来年度以降、総合生存学館設置後のカリキュラムはまだ確定していない。そこで、ここでは既存研究科でのカリキュラムも踏まえながら、今年度の思修館のカリキュラムを説明していく。

まず全体の流れを軽く追っていこう。1年次には、所属研究科における講義と研究が、思修館において、それぞれ「特別研究専門科目」と「特別研究」として充てられる。そのほか思修館のカリキュラムとして「国内サービスラーニング」と「熟議」を受ける。2年次には、特別研究を継続し、「国外サービスラーニング」と「熟議」を受ける。2年目終了時に、思修館では「中間審査(第1次QE)」に合格する必要がある。3年次は「総合学術基盤講義」を受ける。3年目終了時には「進学審査(第2次QE)」があり、これに合格しなければならない。4年次には「国際実線教育(海外武者修行)」があり、特任研究員として一年間海外に派遣される。そして5年次には「プロジェクトベースラーニング」として、自ら課題発見解決に当たる。これを終えると、最後に「最終審査(第3次QE)」があり、これに合格すると学位認定となる。

続いて、カリキュラムをそれぞれ個別的に見ていこう。まず1年次の「特別研究専門科目」と「特別研究」について、これは所属研究科で受けるカリキュラムのことを指している。所属研究科で講義を受け30単位取得し、指導教官から研究指導を受けることが、それに当たる。

「国内サービスラーニング」では、京都府及び京都市の協力の下、福祉介護実習を行う。これは日曜日に実施され、1年次の後期中に計15回行われる。

1年次の「熟議」では、産業界、官界、財界、国際機関において活躍している人を学外講師(特任教授)として招き、講義を行う。さらに、提示された課題についてディベート等を行う。これは土曜日に実施され、1年次の後期中に、1回180分、計8回行われる。

2年次の「熟議」は、1年次のものと形態が異なる。4回の講義が1セットとして実施される。1回目で課題を設定し、2回目では課題に関する調査をする。3回目では調査結果を発表し、さらにディベートを行う。4回目ではディベートの内容を踏まえて最後のまとめを行う。これを1セットとして、前後期にそれぞれ1セットずつ実施する。2年次の熟議も土曜日に行われる。

「国外サービスラーニング」では、JICAと協力し、主に発展途上国においてボランティア活動を実施する。海外へ行くため、長期休業中に行われる。

2年目終了時に実施される中間審査では、総合的な課題解決の基礎となる、専門知識と研究能力をはかるため、学位論文草稿の予備審査を行う。これに合格した者だけが3年次に進級できる。なお、今年度の履修生は既存研究科に所属しているため、普通であれば修士論文も課されることになる。思修館でQEを実施するといっても、修士論文を免除するかどうかは、所属研究科の判断による。またこの段階で、所属研究科において修士課程から博士課程に移行する。

3年次に行われる「総合学術基盤講義」では、八思とされる8分野のうち、学生自身の専門分野とは異なる7分野を受講する。7分野からそれぞれ2科目、合計14科目受けることになる。ここで開講される予定の科目を表にまとめたので参照してほしい。なお、語学に関しては、英語を含め自習用教材が提供される予定とのこと。

3年目終了時には進学審査が実施される。ここでは所属研究科における博士論文草稿の審査、語学審査及び口頭試問が行われ、総合学術基盤講義の単位取得状況と合わせて合否が判断される。これに合格した者のみ4年次に進級できる。

「国際実線教育(海外武者修行)」についてだが、9月19日に行われた説明会によると、連携先の国際機関もまだ検討中ということなので、あまり具体的なことは決まっていないようだ。

「プロジェクトベースラーニング」では学生が自らプロジェクトを立案し、仲間を集い、資金を調達して実行するという。プロジェクト終了後に成果報告会が行われる。

思修館プログラムの最後に最終審査が行われる。通常の学位認定審査(博士論文)に加えて、TOEFL-iBTのスコア100点以上が修了要件となる。これに合格すると学位認定となる。今年度応募した履修生については、所属研究科で授与される学位記に思修館修了の旨が付記されることになる。




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思修館について、ここまで長々と書き連ねてきたが、これでひとまずの終わりとしたい。

理念的なことはどこにでも書いてあるので最小限にとどめ、それよりも実際的なことを中心に説明したつもりである。複雑な構造をもっており、うまく説明できていないところもあるかもしれない。リーディングプログラムや思修館がそれだけ複雑なものなんだと思ってほしい。



本紙に図掲載