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木津川新農場 16年度運用開始へ 高槻農場跡地は公園化

2012.09.16

京都大学は7月30日に高槻市と独立行政法人都市再生機構(UR)の三者間で、大阪府高槻市にある農学研究科附属農場の移転に関する基本協定を締結した。附属農場の木津川市(京都府)への移転は2009年に三者で大枠合意の覚書が締結されており、今回の協定では三者間の土地の引き渡し期限などが新たに決定した。

移転のきっかけは、弥生時代の安満(あま)遺跡が存在する附属農場の買収を高槻市が京大に申し出たこと。高槻市は農場用地を遺跡公園にすることを希望していた。一方大学側は遺跡があることによる制約で、老朽化した建物の建て替えや新しい建物の建築が出来ず、研究や教育において設備面で不十分な点があった。こうしたなかで大学側はURから移転候補先として木津川市木津中央地区を提案され、京大は2008年に移転の検討を開始、2009年に移転を決定、最終的に2016年度から木津川農場で実習が開始することが決まった。北島宣・農学研究科教授は京大新聞の取材に対し「80年以上の歴史がある高槻農場を離れるのは残念だが、将来に向けて研究の進展と教育の充実をはかれる新農場を実現したい」と語った。

今回の基本協定の締結を受け、8月1日に北部構内農学部総合館C228室において農学研究科は農学部自治会に対して附属農場移転の経緯と工程についての説明会を行った。説明会では自治会側から「農学部生が授業で行う農場実習が行えなくなるのではないか」「2016年度から木津川農場のすべてが使用できるのか」「高槻農場の移転に続き北部構内の農場を移転する計画はあるのか」などの質問が出された。農学研究科はそれぞれの問いに対し「附属農場の用地は段階的に高槻市に引き渡すので規模は小さくなるが行うことができる」「施設工事が一部残るかもしれないが農場部分はおそらくすべて使用できる」「北部構内の京都農場を移転することは全く考えていない」と答えた。

今後京大は高槻市とURの両者と土地譲渡契約を締結し、移転工程を進める。高槻市は附属農場跡地を防災公園と史跡公園として用いる予定で、京大は防災公園にあたる土地を2013年度から、史跡公園にあたる土地を2014年度から高槻市に引き渡し始める。用地の引き渡しは2015年度末に完了する予定である。また2012年度からURが木津川農場用地の造成工事を始め、2013年度末に用地を京大に引き渡し、その後京大が開発・土木・建築工事を引き受け農場の整備に努める。

農学研究科は新たな農場である木津川農場について「高槻農場と同等以上のものにしたい。また地域貢献にも力をいれたい」と抱負を述べている。