文化

天皇事件の意義を再考 60周年を語るつどい開かれる

2012.01.23

天皇事件60周年を語るつどいが12月18日に百周年時計台国際交流ホールで開催された。同実行委員会の主催で関係者ら約20人が参加した。

つどいでは実行委を代表して事件当時同学会運動に関わっていた小畑哲夫氏らがあいさつののち、神戸女学院大学船員行使の河西秀哉氏が講演。戦後天皇制の研究が専門で京大文書館在籍時に天皇事件の研究発表した同氏は、天皇事件について、これまでは当時の「逆コース」と呼ばれる政治思潮への抵抗運動として捉えられがちだったが、戦前の流れを引き継ぐ国民統合の権威か否か、というもっと本質的な戦後天皇制のあり方を問う運動の側面があったのでは、と論じた。その際同氏は、学生が提出した公開質問状の文面で昭和天皇を「あなた」と呼ぶなど一人間としてみようという意図が読み取れるとした。

その後は引き続き同会場で、当時の関係者らによる懇談会が催され、思い出話などに花を咲かせていた。

京大天皇事件とは、今から61年前の1951年11月12日、京都行幸中の昭和天皇が京都大学を視察した際、来学を待ち構えていた学生らが、プラカードや赤旗を立てたり、「平和の歌」を一斉に歌い出し、天皇が大学本部玄関に入っていった際これを追いかけるといった行動を起こした一連の経過を指すもの。天皇の行動が「妨害」されるには至らなかったものの、翌日以降各種報道や国会で学生の行動が問題視され、当時の全学自治会同学会が解散処分となった。